はじめての営業マネジャー、求められる発想と行動

ミーティングのやり方で営業も、会社も変わる

2012.09.25 Tue連載バックナンバー

ミーティングのやり方で会社は劇的に変わる。ここでは、IT系のベンチャー企業であるA社が、ミーティングによってどのように変わったのかを見ていこう。

 

営業ミーティングがどこかオカシイ

 A社はインターネットで求人サイトを運営している会社で、社員数80名。本社のほか、都内に4つの営業所がある。創業から3年たったところで大きな壁にぶち当たった。社長は30代後半の、技術には強いが、売るのは苦手という理系出身によくある経営者のタイプ。社長は営業も束ねているが、このところ売上げはジリ貧。四半期ごとに前年比マイナスをたどっている。営業マンのスキルと経験が乏しく、当初は広告企画の新鮮さで売れたが、その勢いもじきに失速した。広告がとれないので自然と意欲も低くなり、営業部門の離職率は高い。つまりは営業力がA社のアキレス腱だった。

 同社は現有戦力の育成、強化を進める一方で中途採用による人材の導入を試みた。営業管理職または管理職候補募集に手を挙げた一人が小原(仮名)だった。31歳。前職は大手不動産販売会社の営業。業績不振で余儀なく転職に踏み切ったという事情があった。不動産営業は客先が個人。たまに法人も相手にしたが、経営者個人の投資や資産運用が目的であり、企業相手の仕事はほとんど経験したことがない。前職では管理職一歩手前の、若手営業マンのまとめ役といった立場だった。転職先のA社ではいずれ都内の営業所を任されることを前提に、別の営業所の所長のもとでOJTの意味合いも含めて配属された。

 小原が違和感を覚えたのは初めて参加した営業ミーティングでのことだった。全員参加しているという空気が感じられない。ミーティングの中で各人の役割が希薄だし、メモをとっているようにも見えない。第一、会議室にはホワイトボードが置かれていない。会議で決まったこと、討議されたこと、検討課題として持ち越されたこと、そうしたことを文字として全員が共有しないと、全員の理解のレベルが異なってしまうのはいうまでもない。

 全員参加の空気に乏しい原因は、まったく発言しないメンバーがいることにもあった。7人の参加者のうち大体3人はほぼ一言も発言しないのだ。小原は前の会社の新人研修で言われたことを思い出した。発言しないのはその問題を理解していないか、その問題に興味がないかのどちらかである。

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 所長のリーダーシップにも問題があると感じた。所長は形ばかり会議を開いているが、メンバーの発言に期待しているようには見えない。自分の意見や方針は伝えているが、メンバーの意見を集めることに意欲は見えなかった。つまりは自分の部下に対する期待値が低いのである。相手に対して超えるべきバーを示したらそれに応えて努力するのが人間の習性だが、そのバーが低いとか、バーが存在しないのでは努力のしようがない。

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岩崎 寿次

岩崎 寿次

ビジネスコラムニスト・株式会社広報システム研究所 代表取締役

リクルートで情報誌編集長などをへて独立。以後、経営・人事・就職・進学などの分野で取材執筆活動。著書『創業の達人』(産能大学出版部)『NTTが復活する日』(宝島社)『YS-11走る!』(徳間書店)など多数。経営分野の電子BOOKシリーズ「See-SawBooks」発行人

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