業界別IT活用法(医療・介護業界【課題編】)

医療・介護業界が抱える課題とITでの改革の可能性

2014.02.17 Mon連載バックナンバー

 昨今の医療技術の発展により日本人の平均寿命は年々伸びてきており、2013年現在では男性で79.9歳、女性で86.4歳に至るまでとなっている。その反面、少子化の傾向も相まって、将来的な健康ならびに社会保障への不安が拭えない状況に直面していることは皆さんもご存じのとおりだろう。

 そのような状況を支えていくべき社会的役割を担うのが「医療・介護業界」である。本編ではその医療・介護施設業界におかれた課題を踏まえて、IT領域で取り組むべきテーマについて述べていきたい。

 

多くの課題を抱える医療・介護業界

◇毎年増える国民医療費

 2013年時点での国民医療費総額は38兆円を超えており、医療費の内訳を診療種類別にみると、入院 が15.6 兆円(構成割合 40.6%)、入院外+調剤が 20.0兆円(同52.1%)、歯科が 2.7 兆円(同7.0%)となっている。年次推移で見ると、国民医療費は年1兆円ずつ増大している状況である。これに加えて、高齢化社会を迎える日本では今後医療需要が高い年代層が増加していくため、医療費の負担について、財源問題に直面することが予想される。


医療費の推移(厚生労働省資料より引用)

◇ますます進む人口高齢化

 人口については政府が少子化対策に積極的に取り組んでいるものの、現時点では抜本的な解決策が見えない状況である。既に日本では、2005年をピークに人口減少に転じており、今後 2015 年を境に世帯数が減少していくことが予想されている。そのため、今後は高齢者に対する医療需要増加が一層加速することが予想される。

◇医療従事者の人材不足と労働環境の問題

 医療業界については、かねてより人材不足とその労働環境の過酷さが問われてきたが、医療従事者は継続的に増加してきており、1990年に約20万人だった総医師数は、過去20年で50%近く増加している。しかしながら、問題は「医師不足」ではなく、「医師の偏在」との指摘もあり、人口10万人あたりでの医師数はかなりのばらつきがあり、医療人口不足の地区との格差が激しくなっている状況である。… 続きを読む

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水上 晃

水上 晃

デロイト トーマツコンサルティング株式会社 シニアマネジャー

デロイト トーマツコンサルティングTMTE(ハイテク・メディア・通信・エレクトロニクス)ユニット所属。大手鉄道会社経営企画部、外資系コンサルティング会社を経てデロイトトーマツコンサルティング株式会社に参画。通信キャリア、ハイテク領域に対して事業戦略立案、情報システム導入戦略と導入支援、大規模BPRなどのプロジェクト経験を豊富に有する。ITを活用した業界変革・業界融合のテーマを中心にコンサルティング活動を展開。昨今は「JCC(ジャパンクラウドコンソーシアム)M2MビックデータWG」の事務局も務める。

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