これだけは知っておくべきセクハラ・パワハラ対策(第21回)

問題行動をとる部下に自信を持って指導するために

2013.10.22 Tue連載バックナンバー

 パワハラを恐れて必要な指導をも躊躇してしまっては、組織をまとめることができなくなったり、人材の育成を妨げることになったりと、パワハラは防げたとしても別の大きな問題を生み出すことになってしまいます。今回は、改善すべき言動について、自信を持って指導するために意識すべきポイントについてお伝えしたいと思います。

 

反抗的なJさん

 経理課長のKさんは、部下のJさんへの指導について悩んでいます。Jさんはいつも反抗的で、指導しても反省の様子が見られません。今日も遅刻をしたにもかかわらず、平然と「おはようございまーす」とオフィスに入ってきて、何事もなかったかのように自席に座ろうとしたので、「ちょっと来い!」と声をかけました。
 ふてくされたような顔でやってきたJさんに対して、遅刻の理由を尋ねると「昨日の残業のせいで、朝起きられなかったんですよ。それに加えて電車も遅延していて余計遅くなったんですよね。遅延届、あとで出しておきますんで」と、悪びれる風もなく言います。
 K課長が「先週も遅刻していたよね」と指摘すると、「だって仕事量が多いから残業しているんですよ。それに電車の遅延なんて、誰だってよくあることじゃないですか。どうして自分だけ呼びつけられるんですか?」と反論してきました。

 あなたがK課長だったとしたら、部下の反論にどのように対応しますか?以下のどの言動に近いでしょうか。
・「バカ野郎!それが上司に対する口のきき方か!」と叱責する
・「残業になるのは、あなたの能力不足ではないですか?」と冷静に対応する
・「遅刻はルール違反だろう。繰り返していれば指導するのが上司の仕事だ」と説明する
・これ以上注意するとパワハラと言われそうなので、「もういい」と放置する

 まずは、職場のルールに違反する行為は、上司の指導の対象となることを明確に伝え、改善すべき言動については毅然とした態度で指導しましょう。最近では遅刻に対してあまり重大に考えていない人が増えていますが、遅刻は服務規律違反であり、繰り返す場合は放置せず、労働契約上、従業員には遅刻せずに出社する義務があることを、改めて理解させる必要があります。
 さらに、問題行動の背景となっている理由を尋ねたり、今回のケースのように、残業が理由だと言っている場合は「仕事量の調整が必要なら相談に乗るから、何に時間がかかっているのか具体的に教えてくれないか」など、解決策を一緒に検討したり、部下が具体的な行動を起こしやすいように促します。

 

「怒る」と「叱る」

問題行動をとる部下に自信を持って指導するために ところで、部下を「怒る」と、「叱る」とでは、その意味に大きな違いがあります。『大辞泉』から引いてみましょう。

「怒る」:<感情が高まるところから>不満・不快なことがあって我慢できない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。

「叱る」:目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。

 つまり、「怒る」とは抑えられない感情をやみくもに相手にぶつける、自分本位の行為です。一方「叱る」とは、相手の改善すべき点を明確に指摘するもので、相手本位の行為です。
 パワハラは、自分の思い通りに動かない部下に対して、攻撃的、批判的に「怒る」ことですが、指導は、理性的、具体的に「叱り」、部下の問題言動をより適切な方向へ導くものなのです。自分が行っている言動は、“怒って”いるのか“叱って”いるのかを意識してみることも、適切な指導をするための一つの確認ポイントです。… 続きを読む

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古谷 紀子

古谷 紀子

株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役

クオレ・シー・キューブ:メンタルヘルスやハラスメント問題の相談、研修を行うコンサルティング会社。「パワーハラスメント」という言葉と定義を創り、特にハラスメント対策の専門機関として、広く知られている。

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