これだけは知っておくべきセクハラ・パワハラ対策(第19回)

指導のつもりがパワハラに~無意識のパワハラを防ぐ

2013.09.12 Thu連載バックナンバー

 パワハラの行為者として訴えられた上司の話を聞くと、意図的にパワハラを行っていたわけではなく、むしろ、部下を育てようと関わっていた、というケースが多々あります。指導のつもりがパワハラになっていた、という無意識のパワハラを防ぐにはどうすればよいのか、事例を通して検討したいと思います。

 

F部長の例

F部長の例 営業課長のFさんは、会社の業績を押し上げてきた実績を持ち、経営層からもその実力を認められている。現在も課長として自分自身の営業成績を保ちながら、熱心に部下指導を行っているが、入社3年目のGさんの成績が一向に上がらないことが気になっていた。F課長は「なんとか彼を一人前にしてやろう」と考えて、Gさんにより厳しく指導するようにした。
 F課長はGさんの仕事ぶりを目にするたび、「本当にとろいやつだな、スピードをあげろ」「足手まといになるやつは要らん」「このままだと評価に影響するぞ」などと檄を飛ばし続けた。ある日、目標の一つである月30件のアポイント獲得の進捗を確認するため、Gさんに「アポはとれているか? 」と聞いたところ、「頑張っているのですがまだ10件ほどです」という答えがかえってきたので、持っていた書類でGさんの頭を叩き、「10件しかとれてないのに、何を頑張っているというんだ。お前、先月も目標値の半分だったじゃないか。やる気があるのか」と問い詰めた。数日後、今度は業務報告が遅れたため、F課長はイライラしてGさんを呼びつけ「こんなこともできないのか。お前は毎日業務報告しろ」と怒鳴りながら命令した。
 ところがしばらくして、Gさんは、体調を崩して出社できなくなってしまった。結局Gさんは休職することになり、その要因が自分にあったと聞いて、F課長は愕然とした。

 F課長はGさんに対して最初からパワハラを行い、休職に追い込もうとしたわけではありません。当初は成績の良くないGさんをなんとか育てようと関わっていました。無意識のパワハラを防ぐには、「足手まといになるやつは要らん」「お前だけ毎日業務報告をしろ」といった言葉や、書類で頭をたたくなどの行為が、相手の人格を傷つけ、身体的・精神的な攻撃となるパワハラであることを理解しておくことが重要ですが、パワハラをエスカレートさせた背景には、F課長のGさんに対する意識が大きく関係したと考えられます。F課長はどのような意識を持っていたと思いますか?… 続きを読む

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ハラスメントは、しない・させない・ゆるさない
古谷 紀子

古谷 紀子

株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役

クオレ・シー・キューブ:メンタルヘルスやハラスメント問題の相談、研修を行うコンサルティング会社。「パワーハラスメント」という言葉と定義を創り、特にハラスメント対策の専門機関として、広く知られている。

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