これだけは知っておくべきセクハラ・パワハラ対策(第15回)

「我が社では当たり前」に潜むパワハラと法的責任

2013.07.05 Fri連載バックナンバー

パワーハラスメント防止も会社の責任

 前号で、厚生労働省が示した職場のパワーハラスメントの定義と行為類型について説明しました。パワハラはセクハラと異なり、企業に防止や対処を義務付ける法律はまだ整備されていませんが、パワハラの事実とそれを受けて発生した問題との因果関係がはっきりすれば企業側の責任は免れません。近年では行政や司法の場で企業に責任を問うケースが出てきていますので、会社が主体となってきちんと防止対策を立てていくことが大切です。
 一口にパワハラといってもさまざまな問題領域があります。今号では法律に抵触する領域と、それぞれの領域に対し、会社としてどのように対応したらよいかについて考えてみたいと思います。

 

D課長の例

 Dさんはある販売会社で営業部門の課長をしています。この会社は昔からスパルタ教育に耐えられた人だけが残るような企業風土で、ミスをしたり失注したりした人は、資料を投げつけられたり、「給料泥棒」「もうお前なんかいらない」「辞めちまえ」などと罵倒され、言うことを聞かない人は、頭を叩かれたり肩を突かれたりすることも日常茶飯事です。
 Dさんも、やりすぎではないかと思うこともありますが、自分はそうやって育てられて、ここまで成長できたと思っていますし、同じように部下を指導した結果、部門の業績も上がっています。この風土についてくることができず、辞める人はいますが、もともと問題を抱えていた人以外に病気になった人はいませんし、会社にもパワハラだという訴えや相談はありません。部下たちも今の指導をパワハラだとは思っておらず、頑張って成果を出しています。今の指導を当たり前だと受け止めていると思うので、Dさんは同様の指導を続けるつもりです。

 さて、D課長の行為は教育・指導であると言えるでしょうか?

パワハラの法的責任 D課長は、相手(部下)が「パワハラだ」と言わなければパワハラではないと思っていますが、上記の例には、厚労省がまとめたパワハラの行為類型の「暴行・傷害(身体的な攻撃)」「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」に該当する行為が含まれています。これらの行為は、たとえ業務に関係することであっても、通常業務をする上で必要な行為とはいえず、『業務の適正な範囲』を超えていると考えられます。さらに、「暴行・傷害」は犯罪行為であり、他にも法律に抵触する行為があります。

 では、どんな法律に抵触するというのでしょうか?… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

ハラスメントは、しない・させない・ゆるさない
古谷 紀子

古谷 紀子

株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役

クオレ・シー・キューブ:メンタルヘルスやハラスメント問題の相談、研修を行うコンサルティング会社。「パワーハラスメント」という言葉と定義を創り、特にハラスメント対策の専門機関として、広く知られている。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter