これだけは知っておくべきセクハラ・パワハラ対策(第14回)

知ってますか?厚労省が初めて示したパワハラの定義

2013.06.20 Thu連載バックナンバー

職場のパワーハラスメントとは

 前回、2012年1月、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」(弊社代表、岡田康子参画)が、パワーハラスメントを定義づけたとお伝えしました。今号では、その内容についてお伝えしたいと思います。
 報告書では、パワーハラスメントを以下のように定義しています。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

 この報告書では、職場の優位性は職務上の地位だけでなく、人間関係などからも生じると記されています。これは、正規社員、非正規社員といった雇用形態や、集団の力、専門知識の有無等、職場の関係性のなかで生じるあらゆるパワー(優位性)を意味します。さらに、これらの優位性を背景にした、いじめや嫌がらせはすべてパワハラと定義する、という国の判断が出たのです。これまでパワハラというと、上司が部下に行なうというイメージを持つ方が多かったのですが、誰もが被害者、加害者になる可能性があることを理解しておく必要があります。

 

パワハラの誤解

 弊社が「パワーハラスメント」という言葉を創ったのは2001年ですが、この10年あまりの間、パワハラという言葉から想起されるイメージが先行していたように思います。例えば、経営者や上司からは「何でもかんでもパワハラといわれてしまうと、遅刻を繰り返すようなだらしない部下をちゃんと指導できないじゃないか!」という不満がもれ聞こえましたし、一方の部下側は「遅刻したのを厳しく叱られるのは、上司が自分のことを嫌いだからに違いない、これはパワハラだ!」と勝手な主張をし、どちらも、自分の都合でパワハラという言葉を用いていました。

 弊社では早くから「業務上の必要性がある叱責は、パワハラではなく正当な指導です」と提唱し続けていますが、実際にはなかなか定着していませんでした。
 上記の「遅刻の指導」について言えば、遅刻という行為について、「遅刻はだめだ」とそれを繰り返さないよう厳しく指導するのは上司の大切な業務であり、パワハラではありません。ただ、その指導の際に「遅刻をするようなヤツはいらん!お前はクビだ!」というような退職を促す言葉を繰り返していれば、パワハラになります。
 パワハラと指導との線引きが難しいと言われることはいまだ多く、パワハラとは何か、また、指導との線引きについて、私どものような一企業でいくら提唱し続けても、社会的なインパクトを与えるには限界があったといわざるを得ません。その意味で、厚労省からパワハラの定義と、その行為分類について類型化された報告書が発表されたことで、私どもが提唱してきた【パワハラと指導の違い】についても、より明確になっていくことを期待しています。

 パワハラと指導の違いについては、次回以降で解説したいと思いますが、まず、パワハラの判断基準について確認しておきましょう。

 ここで質問です。パワハラの判断基準として正しいのはどちらでしょうか。
 1.受け手がパワハラと感じたらパワハラである
 2.客観的に見て、業務の適正な範囲かどうか… 続きを読む

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連載記事

ハラスメントは、しない・させない・ゆるさない
古谷 紀子

古谷 紀子

株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役

クオレ・シー・キューブ:メンタルヘルスやハラスメント問題の相談、研修を行うコンサルティング会社。「パワーハラスメント」という言葉と定義を創り、特にハラスメント対策の専門機関として、広く知られている。

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