これだけは知っておくべきセクハラ・パワハラ対策(第6回)

セクハラを放置すれば労災認定に

2013.02.21 Thu連載バックナンバー

精神障害の労災認定基準の見直し

 セクハラ問題に関する昨今の動向に目を向けると、加害者や企業にとって、ますます問われる責任やリスクが大きくなってきていることがわかります。
 2007年の男女雇用機会均等法改正において、相談窓口の設置および相談体制づくりや継続的な教育研修を行なう等、事業主の措置義務が明確化されましたが、その後、2011年にセクハラによって引き起こされる精神障害の労災認定基準が見直されています。職場におけるセクハラやセクハラを受けたことを相談したことによって、被害者が心理的なダメージを受け、うつ病等の精神障害が引き起こされるケースは珍しくありません。セクハラ問題は、被害者にとって、その後の一生に影響を与えるような深刻な問題であることを改めて認識しておく必要があります。

 

Dさんの例

セクハラを放置すれば労災認定に Dさん(女性)は、6ヶ月前の異動で、ある役員の秘書になった。しかし、秘書になってしばらくたった頃から、役員と2人きりになると、肩に手をまわされたり、腕を触るなどのボディタッチや「奥さんの次に好きだ」などの発言を繰り返されるようになった。Dさんは、触れられたり、性的な発言が嫌でたまらなかったが、どう対処することもできず、そのうち役員と2人になることが怖くてたまらなくなった。仕事にはやりがいを感じていたので、役員の言動を何とかできないかと思い、勇気を出して秘書室のリーダーに相談したが、「それを断ってかわすのも秘書のスキル」と言われただけで、状況を変えることができず、その頃からDさんは強い不安から不眠に悩まされるようになった。
 ある日、Dさんはお客様の接待のために役員に同行した。接待のあと、Dさんは一人で帰ると言ったが、役員が一緒にタクシーに乗るように言って譲らず、仕方なく一緒に帰ることになり、車内で膝に手をおかれたり手を握られたりした。Dさんは恐怖とショックで翌日から出社できなくなり、心療内科に通院し2ヶ月後に退職した。その後、Dさんは労災の申請をしたいと会社に申し出た……。

 

 精神障害等の労災請求件数は年々増加しておりますが、見直しの前までは認定の審査に8ヶ月以上かかっていました。うつ病等の精神障害の労災認定には、業務による強い心理的負荷が認められることが要件となりますが、2011年の労災認定基準の見直しでは、審査を迅速化することを目的に、心理的負荷の程度を具体的に例示するなどわかりやすくし、現代の職場状況にあった項目に整理されました。セクハラ問題についても、認定に結びつきやすくなるようになっています。

 

 では質問です。

 被害者がセクハラ被害を会社に相談した場合、以下のケースについて、労災認定の判断においていずれが正しいか、考えてみてください。
1.会社への相談後に人間関係が悪化した場合についても評価対象となる
2.会社が相談について対応しているなら、心理的負荷が追加されることはない

… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

ハラスメントは、しない・させない・ゆるさない
古谷 紀子

古谷 紀子

株式会社クオレ・シー・キューブ 取締役

クオレ・シー・キューブ:メンタルヘルスやハラスメント問題の相談、研修を行うコンサルティング会社。「パワーハラスメント」という言葉と定義を創り、特にハラスメント対策の専門機関として、広く知られている。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter