実業家なら知っておこう!モバイル活用物語(第1回)

スマホ・タブレットは本当にビジネスで使えるのか?

2013.08.01 Thu連載バックナンバー

 急速に普及するスマートフォンやタブレット。いまITを考えるとき、「まずはモバイルから」という発想が、特に営業力やサービス力を高めたい企業において注目されていますが、これは何もグローバル企業や大企業に限った話ではありません。さまざまな業種や規模のビジネスを経営するリーダーたちが、いまモバイルに着目しています。仕事の効率化からコストの削減まで、期待は高まる一方です。では、具体的にはどんな使い方ができるのでしょうか?
 今回から計4回に渡り、ストーリー形式で最新のモバイル活用術をご紹介します。

 

スマートデバイスの「いまと明日」

 ここは都内某所の居酒屋。奥の小上がりに座を占める男女3人は、大学の同じクラスで学んだ仲である。卒業から22年が経つが、一昨年久々に開かれた同窓会で再会して意気投合。それから定期的に集まって自分たちを取り巻く経済環境などについて熱く語り合っている。
 最近、彼らのもっぱらの関心事はITの最新動向で、中堅不動産会社のシステム管理責任者を務める西郷隆が指南役となって会話が進む。
 今日はスマートデバイスの話で盛り上がっているようなので、ちょっと覗いてみるとしよう。

 

企業規模・事業内容の異なる3社
それぞれのIT導入の課題とは 

坂本龍太:服飾雑貨業「コンパス・ウェア」代表

坂本龍太:服飾雑貨業「コンパス・ウェア」代表

 長年勤務したアパレルを退職し、友人・後輩と3人で新しい会社を起業したばかり。将来的な拡張を見据え、IP電話導入を検討中。さらに、フットワークのよさに勝負をかけたい状況のもと、スマートデバイスの活用に大いに関心を寄せているが、まだ具体的なイメージがなく、活用法や管理について情報を得たいと思っている。

 

木戸孝子:保険代理店「桂エージェンシー」代表取締役社長

木戸孝子:保険代理店「桂エージェンシー」代表取締役社長 大手保険会社を10年前に退職し、保険代理店を起業。現在は社員20名を抱える規模に成長。IT管理は部下任せだが、新しいシステムの導入に対しては積極的で、常に世の中の動向にアンテナを張り、適切な判断を下してきた。そろそろスマートデバイスを本格的に導入したいと考えているが、セキュリティのことが少々心配。ちなみに、桂は旧姓である。

 

西郷隆:不動産仲介業「島津エステート」システム管理室長

西郷隆:不動産仲介業「島津エステート」システム管理室長 社員数200名の中堅企業でIT管理を一手に引き受けている。仕事柄、3人の中ではITに関する知識や理解度は圧倒的に高い。会社では社長の信任が厚く、いつも経営課題の改善に対する相談を持ちかけられる。利用者の気持ちを重視する発想に定評があり、モットーは「一に便利、二に便利。三、四がなくて五に安心」。いまは「スマートデバイスを営業社員のスキルアップに活用できないか」という課題に取り組んでいるところである。

 

大きな伸びを見せるスマートデバイスのビジネス利用

西郷:坂本、会社設立おめでとう。いよいよお前も、実業家の仲間入りだな。

木戸:ほんとに、おめでとう。今日は起業のお祝いね。

坂本:ありがとう、やっと夢がかなったよ。でも、まだ始まったばかりだから、これからさ。いまはとにかく販売ルートの開拓で、毎日駆け回っている。1日何件問屋を周れるか、フットワークが勝負だと思ってるんだ。事務所に座っているヒマなんてないよな。まあ、そんなこともあって、いつでもどこでも仕事できるよう、今日は西郷にスマートフォンやタブレットについていろいろ教えてもらおうと思ってるんだ。

木戸:私の周り、ほとんどの人がスマホ持ってるし、電車やカフェの中でもタブレットを使ってる人がけっこう多いけど、実際のところはどうなの? 仕事でも使ってる?

西郷:そうだな、個人利用だと半数近くの携帯電話がスマートフォンになっているらしいけど、企業でのビジネスユースの話をすると、いまは導入期という感じかな。ただし、導入率の伸びはかなりのもので、今年2月に発表された企業動向調査結果で2011年度と2012年度を比べると、タブレットは13.8%から27.0%に、なんと2倍以上に増えている。一方、スマホは19.0%から28.0%だから、伸び率の比較ではタブレットの伸長が目を引く結果になってるね。

坂本:それって、端的にいうとタブレットの方が仕事に使えるってことか?

西郷:そういう単純な比較は難しいな。やっぱり役割が違うと思う。スマホは電話やメール、スケジュール確認、ネットからの情報収集などのちょこっと仕事を便利に、効率的にするものだけど、タブレットは画面の大きさを活かして、プレゼンや販売活動などにも幅広く使えるよな。相手に「見せる」という使い方に特長があると思う。ノートPCだと操作をしながら向かいの商談相手に画面を見せるのは難しいけど、タブレットなら簡単だろ? 電子カタログなんかが最も効果的に使えるデバイスだといえる。ちょっとした文書の作成・編集ならできてしまうのも、タブレットの魅力だね(NTTコミュニケーションズ「Biz Suite eカタログ」、NEC「スマートデバイス対応カタログソリューション」、博報堂アイ・スタジオ「スマートセールス」など)。

「企業IT動向調査2013」
【出典】一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査2013」(速報値)

 

アプリを使ってみることでスマートデバイスの理解を深めよう

西郷:スマホかタブレットかも気になるだろうけどさ、個人でも会社でも、スマートデバイスのメリットを存分に発揮させるには、アプリケーションを上手く選んで使いこなすことがいちばん大事だね。

木戸:それそれ。スマホのアプリとか星の数ほどあるけど、仕事に有効に使えるものを教えてよ。

西郷:そうだな、目的によっていろいろなものがあるけど、情報の保存やメモ機能でいうと、「Evernote(エバーノート)」なんかは、作業効率化によく使われているアプリだ。イメージとしては、クラウド上にどこからでもアクセスできる自分専用のノートを持っているようなもので、ひらめいたアイデアなんかを書き込んでおくとか、メモ的な使い方が便利だと思う。文字だけじゃなくて、写真や音声も保存できるぞ。もちろん、ID とパスワードでログインするわけだけど、それを共有することで、グループ内のメッセージ交換や情報共有にも使える。

坂本:うちはとにかく新規の訪問が多いんだけど、何か使えるものはないか?

西郷:そういう人には、地図アプリと名刺管理アプリが必須だね。地図アプリは、色々なものがリリースされてるけど、訪問先の住所を入力すれば、即座に地図情報が呼び出せる。そこに現在地を表示させれば、道に迷うこともないんじゃないか。

坂本:初めての客先だと、たまに迷ってアポイントの時間に遅れそうになって冷や汗をかくことがあるから、それは助かるな。で、名刺管理ってのは、どうなんだ?

西郷:「CamCard(カムカード)」というアプリが定番かな。名刺をスマホのカメラで撮影するだけで、文字を自動認識してアドレス帳に保存できる。名刺の束から目的の名刺が探し出せない、なんてことはなくなるぞ。

木戸:それ、すごく便利ね。すぐに使ってみたいわ。

西郷:忘れがちなのが電話のアプリかな。

坂本:電話? 電話はスマホに最初からついてくるだろう? アプリが必要なのか?おれは普通に使えているけれど……

西郷:そうじゃないよ(笑)もちろんスマホは電話の機能を持ってる。だけど、IP電話のアプリを入れておけばすごくお得に通話することができるし、スマホについてくる080や090の電話番号とは別に050の電話番号を持てたりするから、プライベートと仕事で電話番号を分けたい時なんかに便利だよ。… 続きを読む

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田川 接也

田川 接也

フリーランス・ライター

企業の情報誌・Webサイト、自治体の広報誌などをメインに取材・原稿執筆を行う。これまでIT系の導入事例記事を多く手がけているが、ITの他、行政、教育、飲食など、幅広いフィールドにおいても活動している。

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