POSデータ提供サービスの変化は業界に何を起こすのか

POSデータの導入で中堅企業のMDが変わる

2012.11.17 Sat連載バックナンバー

 企業は売上確保に向け、消費者のニーズや嗜好などに合わせた商品を揃えて提供する必要がある。消費者のニーズや嗜好などを把握・理解するには、他社や業界全体のPOSデータ(*POS=Point Of Sales system/販売時点情報管理システム)に基づく市場調査が有効だが、中堅・中小企業がPOSデータを入手するには、高額な費用が発生するなどの課題があった。最近、登場している廉価版POSデータの提供サービスを活用することで、中堅・中小企業も効果的なマーケティング活動が実現できる。

 

中堅中小企業の課題と市場POSデータの必要性
 売上確保は、中堅・中小企業(小売・卸・メーカーなど)にとって難しい経営課題の一つである。中小企業庁が発行している「2007年度版中小企業白書」によると、1986年以降国内の中小企業の廃業数は、毎年、開業数を上回っており、年々中小企業数が減少していることを示している。

【中小企業の開廃業率】
中小企業の開廃業率

出典「2007年度版中小企業白書」

総務省「事業所・企業統計調査」
注1、「1.事業所数ベース」については、事業所を対象としており、支所や工場の開設・閉鎖、移転による開設・閉鎖を含む

注2、1991年までは「事業所統計調査」、1989年および1994年は「事業所名簿整備調査」として行なわれた

 

 その原因は「競争が激しく、集客できない」からであり、売上確保が事業継続にとって最重要課題となる。企業は、厳しい競争下で売上確保を行なうため、消費者のニーズや嗜好などに合わせた商品を提供する必要がある。

 消費者のニーズや嗜好などを把握・理解する上で有効な方法は、顧客の購買行動を日常的に集められる他社や業界全体のPOSデータを活用することだ。
 POSデータは、スーパーマーケットや小売店舗などで売上会計を行なうために設置されているPOSレジスタ(商品毎の集計機能を持った機器)でデータ収集し、サーバーで集計する。POSレジスタにより、「購入商品名」「購入価格」「店舗名」「購入日時」「購入数量」、顧客属性情報を持つシステムの場合は「購入者(年齢や性別)」に至るまで、売上発生ベースで把握できる。
 POSシステムは、他情報との統合により発注や在庫管理を効率化できるほか、収集したPOSデータから人気商品の特定や商品価格の設定など、店舗経営からマーチャンダイジング(Merchandising、略してMD)まで、さまざまな分野の必要情報の収集を可能にする。MDとは、品揃えや商品供給の計画作成のことで、企業にとっては売上確保の生命線になる。しかし、中堅企業にとって、POSシステムを自社構築することは難しい。また、POSデータのみを購入して活用しようとしてもこれまではコスト面などの問題があった。

 

既存POSデータの状況と課題

 既存のPOSデータは、高額費用を要することと、内容が複雑で使い勝手が悪いことなどもあり、活用するのは困難であった。例えば、POSデータ分析システムの代表的な調査会社の場合、初期投資を含めて百万円単位の費用が必要となる。
 あるPOSデータ分析システム会社が運営するサービスを例に取ると、… 続きを読む

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山本 雅暁

山本 雅暁

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 代表

1975年大手AVメーカー入社。海外子会社の経営再建やアライアンス・M&Aに従事。2007年経営コンサルタントとして独立。事業領域や市場規模に応じた売上拡大、新規事業立上、事業再生などの経営戦略を支援。

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