海外IT動向ウォッチング 2016年10月~2017年3月(第14回)

「茶飲み友達はロボット」高齢者を支援するAI

2017.01.30 Mon連載バックナンバー

 高齢者と対話して精神面から支援することを目指すロボットを、イスラエルのベンチャー企業が発表しました。高齢者向けというと介護ロボットが思い浮かびますが、「ElliQ」(エリキュー)と名付けられたこのロボットは、人とやりとりし、体を動かすよう勧め、知的好奇心に応えることに重点を置いたといいます。

 

「アクティブに年を重ねるためのコンパニオン」

 「ElliQ」は、イスラエルのインテュイション・ロボティクスが年明けに発表したロボットで、話しかけると、デバイスの上部が頭のように動き、タブレット側に写真や動画など視覚情報を表示します。

 キャッチコピーは「アクティブに年を重ねるためのコンパニオン」。ウェブサイトの紹介動画では、高齢者であるユーザーに、「孫が写真を送ってきたよ」と知らせたり、薬を飲むべき時間になったことを知らせたり、トランプをしようと話しかけたりします。

 たとえば、写真が送られてきた場合には「メアリー、(娘の)メーガンが写真を送ってきたけど、見たい?」とElliQが言い、ユーザーが「そうね」と応じると、写真を表示します。そして「返事をする?」とElliQが次のアクションを提案します。このほかにも、「前に娘とSkypeしようと言っていたけど、今する?」と誘うケースもあります。

 さらに、ネットビデオの教養番組を見るとか、散歩に出ようといった提案をして、高齢者に活動を促すこともします。

 ElliQのデザインは、電気スタンドのような、あるいは頭でっかちのこけしのような本体とタブレット端末がセットになっています。そう言われなければ、ロボットとは分からないでしょう。この独特のデザインについて、インテュイション・ロボティクス社は次のように説明しています。

 ElliQでは、従来のロボットのようなルック&フィール(操作画面の見た目や操作感)を意図的に避けた。同時に、高齢者が動画チャット、オンラインゲーム、ソーシャルメディアなどのさまざまな技術を利用しながら、デジタルの難しさを超えて、家族や友達とつながることができるようにした。

 デザインではスイスのデザイナー、イヴ・べアール氏と同氏が創業したデザイン事務所と協業しました。べアール氏は、フィットネス用活動量計などを展開する米Jawboneで最高クリエイティブ責任者も務めるなどよく知られたデジタル機器デザイナーです。

 

孤独で孤立する高齢者のために

 インテュイション・ロボティクス社のドア・スクラーCEO(最高経営責任者)はサイバーセキュリティやクラウド関連で起業してきた人物で、「今度は、人々の生活に実際にインパクトのあることをしたかった」と米フォーブスに語っています。製品名の「ElliQ」は北欧神話に出てくる老婆の神「Elli」(エリ)に「Q」を付けたもので、「ガールパワー」という意味を込めたといいます。

 ElliQ開発の背景には高齢化問題があります。日本の人口に対する65歳以上の高齢者の比率は2015年時点で25%(4人に1人)に達していますが、海外もドイツが… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

犯罪被害者に聞き取り調査をする「ロボット弁護士」
Infostand

Infostand

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter