海外IT動向ウォッチング 2016年10月~2017年3月(第13回)

諸行無常、アメリカではパン工場がデータセンターに

2017.01.23 Mon連載バックナンバー

 日本のデータセンターは、強固な耐震・防災機能を備えた建物を新築する例が多いようですが、米国では、既存の建築物を改装して再利用するケースも増えているといいます。かつての印刷工場やパン工場が、外見はそのままに、最新のデータセンターと稼働しているのです。

 ルーズベルト大学(シカゴ)の助教で、サステナビリティ(持続可能性)を専攻するグラハム・ピックレン氏が「かつての工場が、未来のデータセンターへと姿を変える」(The factories of the past are turning into the data centers of the future)というコラムで、情報産業の時代への変化を語っています。

 

アナログ産業の工場をデータセンターに活用

 ピックレン氏は、既存建物をデータセンターに生まれ変わらせた例として、地元シカゴのダウンタウンにある元印刷工場を紹介しています。

 出版社のRRドネリー&サンズが所有していたもので、100年以上前に建設された約10万平方メートルの大きな工場です。かつては聖書から通信販売のカタログまでを印刷したといいますが、データセンター事業者デジタル・リアリティの「レイクサイド・テクノロジー・センター」(350 East Cermak)と名を変えています。データセンターとしては世界でも最大級とのことです。

 8階建てのゴシック風の建築物は、大規模なデータセンターに最適だ。建物に備わっている立坑は、印刷工場時代にはフロアからフロアに印刷物を運ぶのに使っていたが、現在では建物中に光ファイバー網などの配線を巡らすのに利用されているという。印刷機材の重量に耐えられるしっかりした作りなので、サーバーを積み重ねたラックにも耐えられる。かつてのアナログ時代の頂点が、現在は世界ベースの金融ネットワークのノードになっている。

 すぐ近くにも、かつてはパン工場だった5階建の建物が「ミッドウェイ・テクノロジー・センター」という名で、データセンターとして稼働しています。また、シカゴ以外にも、ニューヨークでは国際送金のウエスタン・ユニオンが入っていた建物が、アイルランドではビスケット工場がデータセンターになった例もあるといいます。

 また、データセンターに対するニーズは大きいようで、百貨店のシアーズは全米に所有している不動産をデータセンターに活用できるようにするため、不動産事業を立ち上げています。

 

産業の主役は情報産業へ

 このような産業用の建物のストックをデータセンターに転用する動きを、ピックレン氏は「適応的再利用(Adaptive reuse)」と呼んでいます。レイクサイド・テクノロジー・センターの場合は、配線ケーブルに線路の支線を利用したそうですが、そうした設備面のほかに、立地もデータセンター化の大事な要素であるといいます。

 たとえば、ミッドウェイ・テクノロジー・センターの近隣は産業構造の変化で、大規模な公共住宅プロジェクトがなくなり、その結果、受変電設備に余剰があって、電力がふんだに使えるというメリットがあったと説明しています。… 続きを読む

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