海外IT動向ウォッチング 2016年4月~9月(第21回)

80年前の地下シェルターがデータセンターに

2016.09.05 Mon連載バックナンバー

 歴史の街パリでは、あちこちに大変古い施設が往時のままに残っています。そんな一つ、80年近く前の地下シェルターがクラウドサービスのデータセンターとして再利用されることになりました。第二次大戦時の地下壕、冷戦時代の地下核シェルターとして残ってきた施設ですが、今度はクラウドでユーザーの大事なデータを守る施設に変わりました。

 

第二次大戦前夜につくられたパリの地下シェルター

 戦争の遺物をハイエンドのデータセンターに活用するのは、フランスのクラウド事業者Online.netです。4年がかりで進めてきたプロジェクトが完成し、いよいよ10月から運用を開始する、と先ごろ発表しました。

 シェルターはパリの南15区にあるルフェーブル通りにあり、1936年に当時の仏政府が計画しました。1936年と言えば第二次世界大戦前夜。ドイツでは前年に再軍備を宣言したヒトラー政権がラインラントに進駐し、フランスでは反ファシズムの人民戦線内閣が生まれた年です。3年後に完成した地下壕は、地下26メートルにあり、厚さ10メートルの石灰岩の層で覆われていました。内部の広さは650平方メートルあり、90人を収容できたといいます。

 その後の冷戦時代に、政府はシェルターを950平方メートルに拡張。300人を収容できる規模にしました。核攻撃の際の避難所とするためです。内部には、ディーゼル発電装置、暖房・換気システム、シャワー、トイレ、飲料水用の井戸、他のシェルターと通信するためのPBX(構内交換機)などの設備が用意されました。

 

データセンターへの転用プロジェクト

 シェルターは、冷戦時代が終わって1991年まで極秘扱いで運用・維持されてきましたが、その後は放置され、荒廃してしまいました。最終的に地上施設の移転が決まり、2012年秋に行われたオンライン競売で、Online.netが落札したというわけです。同社は公式ブログで次のように述べています。

 核シェルターはその位置からして、とてもユニークだった。パリの中心部にあり、風変わりで、たどり着くのも難しい。そして、建物とシェルターをデータセンターに変身させるという重要で複雑な作業は大仕事だった。

 プロジェクトは「DC4」と名付けられ、Online.netが開発中だったストレージプラットフォーム「C14」向けの設備として再生されました。C14は同社のハイエンドのオンラインストレージサービスで、データアーカイブと長期的なバックアップの用途向けに信頼性と安全性を売りにしています。でも素晴らしいアイデアかと思われた地下シェルターのデータセンター転用には、大変な苦労が待ち受けていました。… 続きを読む

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