これなら分かるグローバルネットワーク構築の“鍵”

グローバルネットワーク構築の鍵を握る「通信品質」

2013.09.06 Fri連載バックナンバー

 グローバルにビジネスを展開する際、ITシステムの活用や従業員間のスムースなコミュニケーションを実現するために、必要不可欠となるのがネットワークです。このネットワークとして、インターネットを利用することも可能ですが、通信品質が保証されていないため利用できる用途には限界があります。そこでぜひ検討したいのが、グローバルで利用できるVPNサービスです。そこでまず、グローバルネットワークを構築する上での課題やサービス選定のポイントなどについて解説していきましょう。

 

海外拠点との通信が遅い理由

 海外拠点から国内のメールサーバーに接続してメールを送受信する、あるいは逆に国内から海外拠点のファイルサーバーを利用するといった際、「なかなかメールが開かない」、「ファイルの送受信に時間がかかる」といった問題が発生することが珍しくありません。その背景にはいくつかの理由が考えられますが、特に影響が大きいものとして挙げられるのがデータが相手のところに届くまでのタイムラグで、これを「遅延」と呼びます。

 遅延はさまざまな要因で発生しますが、その1つにネットワークを流れる電気信号のスピードがあります。電気信号のスピードには限界があり、ネットワークの距離が長くなればなるほど電気信号が相手に届くまでの時間が延びます。また、ルーターやスイッチ、メディアコンバーターなどといったネットワーク機器は、受け取ったパケットに対して何らかの処理を行って転送を行いますが、この処理時間も遅延につながります。そのため、相手にデータを送るまでに多くのネットワーク機器を経由することになれば、それだけ累積の処理時間が長くなり、遅延は大きくなってしまいます。

 ネットワーク通信におけるデータの伝送速度は、この遅延と現在のコンピューターネットワークにおいて広く使われている「TCP(Transmission Control Protocol)」と呼ばれるプロトコルの仕組みが大きく影響します。TCPを使った通信では、1度に送信できるデータ量に制限があり、送信するデータ量が上限に達すると、受信側から「データを受け取った」という返事(これをACKと呼びます)が届くまでデータの送出を控えます。TCPではこのように制御することで、相手に確実にデータが届く仕組みになっているのです。

 ただこの仕組みは、データの転送スピードという観点からはマイナスに働いてしまいます。なぜなら送信側はデータを連続して送ることができず、相手からの返事待ちという無駄な時間が生じてしまうからです。さらに遅延によって相手から返事が届くまでに時間がかかると、送信側の待ち時間はさらに長くなり、データ転送速度も低下します。つまり同じデータ量であっても、遅延が大きければ大きいほど、相手に届くまでの時間は延びてしまうのです。

海外拠点との通信が遅い理由

 ネットワークの世界では、遅延をRTT(Round Trip Time:信号の往復に要する時間)という指標で表します。たとえばインターネットを利用した通信において、東京-大阪間の通信は約20ミリ秒程度、東京-アメリカ間では約100ミリ秒以上のRTTになることが一般的です。単純な計算で、東京-大阪間と東京-アメリカ間では遅延時間が5倍、送信側の待ち時間も5倍になるため、データを送信するスピードは1/5に低下します。これが遠隔地との通信で、メールを開くのに時間がかかったり、ファイルの転送がなかなか終わらない理由です。

 

快適な通信環境を実現するグローバルVPN

 このように、遅延は通信速度に直接的に影響するため、どれだけ遅延の小さいネットワークを利用するかが、日本と海外拠点、あるいは海外拠点同士を結ぶグローバルネットワークを構築する際の鍵となります。こうした用途において現在広く使われているのがインターネットですが、そもそもインターネットは複数のネットワークを経由して相手と接続する形となっているため、どうしても遅延が大きくなる傾向にあります。

快適な通信環境を実現するグローバルVPN

 またインターネットには、通信経路上でパケットの盗聴や改ざんが行われるリスクがあり、その対処も考えなければなりません。一般的にはインターネットVPN(Virtual Private Network:仮想専用網)と呼ばれる技術を使って通信内容を暗号化し、盗聴や改ざんを防ぐという方法が採られますが、その処理に要する時間も遅延につながり、通信速度の低下を招いてしまいます。

 次のグラフは、日本(東京)~タイ(バンコク)間のある時間のインターネット通信の「遅延」と「パケットロス(データの破棄)」を示したものです。  上のグラフでは、遅延(RTT)が800ミリ秒を超えるケースがあることがわかります。下のグラフでは、「パケットロス」といって、送信したデータの一部が経路上のどこかで消失してしまっている度合がわかります。

快適な通信環境を実現するグローバルVPN

 

 このような通信速度の課題を解決できるネットワークとして、ぜひ活用したいのが通信事業者のネットワークを利用して拠点間を接続するVPNサービスです。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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