グローバル事業拡大におけるIT活用術(第4回)

海外拠点との情報共有に効くチャットとビデオ会議

2013.01.22 Tue連載バックナンバー

 グローバルクラウドの魅力を知るなら、実際に導入している企業の事例を見るのが一番わかりやすいでしょう。すでに、多数の企業が海外展開の際にグローバルクラウドを導入し、コストの削減やビジネスのスピードアップを実現しています。今回は、チャットコミュニケーションツール『ChatWork』と映像会議システム『Arcstar Video Conferencing』の事例を、開発者のインタビューも交えながらお話しします。

 

世界50カ国以上で活用されているチャットコミュニケーションツール『ChatWork』

 複数の取引先やプロジェクトに関わる人にとって、メールは使いやすいツールではありません。企業としては、誤送信による取引先の信頼低下や情報漏洩も考える必要があります。そこで、メールに変わる新たな情報共有ツールとして活用されているのが『ChatWork』です。

 クラウド型のビジネスチャットツール『ChatWork』を開発した、ChatWork株式会社の代表取締役の山本敏行氏にお話を伺いました。

ChatWork株式会社 代表取締役 山本敏行氏 「以前はメッセンジャーツールやスカイプを使って仕事をしていました。しかし、どちらも使い勝手が一長一短で、使いやすいツールを探して、世界中をリサーチしたのです」と山本氏。
 しかし、目当てのツールは見つかりませんでした。それならば、と自社で開発をスタート。そして、単なるチャットソフトではなく、過去のログを検索したり、オフラインでもメッセージを送れるといった、ビジネスに特化した『ChatWork』が生まれたのです。現在では日本やアメリカをはじめ、インド、トルコ、ウルグアイなど世界50カ国以上で利用されています。

 このような『ChatWork』のメリットを最大限に活用しているのが、フィリピンを拠点にスマートフォン向けアプリを制作している「KLab Cyscorpions」です。日本やフィリピン、シンガポール、アメリカといった拠点を持っています。
 「もともと、フィリピンではメールよりもチャットの方が普及しています。そのため、『KLab Cyscorpions』社は、以前は自社内にチャットサーバーを設置していたそうです。しかし、ログの管理やグループチャットなどが難しく、GoogleのGmail導入を検討していました。その時、『ChatWork』に出会ったと聞きました」と山本氏。

 本来メッセンジャーツールは、お互いがオンラインでないとメッセージのやりとりができません。しかし、グローバルに展開する企業だと、時差が問題になります。その点、『ChatWork』はクラウドサービスなので、オフラインでもメッセージを書き込むことができます。相手は朝出社してからメッセージを読み、ビジネスをスタートできるのです。

 「アプリの開発では、画面のレイアウトやボタンの画像を頻繁にやりとりしてディスカッションするそうです。従来は、画面をFTP( File Transfer Protocol/ファイル・トランスファー・プロトコル、ファイル転送プロトコル)やストレージサービスにアップロードして、URLをメールなどで連絡し、意見の交換を行なっていました。しかし、『ChatWork』なら画像をアップロードしたら、サムネイル画像が表示されるので、その場でディスカッションが始められます。アウトプットの品質とは関係ない工程を削ることにより、時間すなわちコストを大幅に圧縮することができたと『KLab Cyscorpions』社の方々に好評をいただいています」と山本氏は語ります。

 このほか、農家や農園といったITとは一見縁のない業界でも活用されています。農家とセンターの間で在庫情報をやりとりする際、以前はファックスを利用していたそうです。当然、手間とコストが発生します。そこで『ChatWork』を導入したところ、スムーズな情報共有が実現できたそうです。

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柳谷 智宣

柳谷 智宣

ITライター

インターネットから自作PC、エンタープライズ向けソリューションまでIT全般に精通する。常に最新のガジェットやサービスを使いこなしている。著書に「Dropbox WORKING」(翔泳社)など多数。

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