事例で見る、クラウド時代のネットワーク構築

IP-VPN/広域イーサネットの選択方法とは?

2013.08.30 Fri連載バックナンバー

 VPN(Virtual Private Network)とは、公衆網のインターネット回線をあたかも専用線(プライベート)のように使うネットワークサービスです。低価格ながらセキュアなネットワーク構築が可能となります。5月に掲載した「営業にダマされない! VPNの選び方」ではVPNの種類や他のサービスとの比較を詳細に解説しましたが、今回は、事例をとおして具体的な利用方法やメリットを紹介しましょう。

 

なぜ今、IP-VPNか

 現在、IT業界ではクラウドが大きな潮流となっています。多くの企業がITシステムをデータセンターやクラウド上に保管し、運用負荷の大幅な軽減や機敏なシステム構築を目指しています。基幹システムもクラウド上に構築し、遠隔地から利用する企業も増えてきました。ここで、多くの企業の迫られているのが、拠点とデータセンターとを結ぶネットワークの選択です。こうして、改めてIP-VPNが注目されるようになりました。
 インターネットVPNと比較して、IP-VPNの利点は安定性にあります。IP-VPNのユーザーはサービス契約者に限られており、通信業者は予め十分なネットワーク帯域を確保しておくため、帯域不足の心配がありません。多くのIP-VPNサービスが「帯域保証」プランを実施しており、速度を常に一定以上に保つ保証もしています。事業者の提供する閉域網を利用するため、セキュリティ面でも安心です。基幹ネットワークとして、IP-VPNが利用されるのはこれらの理由があるからです。
 また、広域イーサネットもIP-VPNの比較検討の対象となります。一般的に、IP-VPNは設計の自由度が低い代わりに設定が容易であり、逆に広域イーサネットは設計の自由度が高い代わりに設定が複雑になるとされています。ここではIP-VPNのみならず広域イーサ事例や、IP-VPNと広域イーサとの組み合わせ事例も紹介しましょう(事例の詳細については、各社ホームページ内の参照元記事をご覧ください)。

 

ケースA:柔軟性と拡張性で事業の拡大に対応

サービス名称:NTTコミュニケーションズ「Arcstar Universal One
参照記事:http://www.ntt.com/vpn/data/jirei_hakutsuru_01.html

 日本有数の酒造メーカーA社が選んだのは、NTTコミュニケーションズの「Arcstar Universal One」でした。
 同社では、本社や支店・営業所、工場、物流拠点などの基幹回線をベストエフォート型のVPNで結んで社内ネットワークを構築していました。BCP対策として本社と支社の間でデータバックアップを行っていましたが、その処理にかなり時間を要するようになり、ネットワークの広帯域化が不可欠になっていました。加えて経営層向けのテレビ会議システム導入の要望もあり、トラフィック増大に対応できる、柔軟性と拡張性を備えた新しいネットワークが求められていました。
 そんなとき、NTTコミュニケーションズ営業担当から提案されたのが「Arcstar Universal One」でした。
 採用の決め手となったのは、拠点の規模や重要度などに応じたプランが選択でき、将来見込まれるデータ量増大に柔軟に対応できることです。さらに、利用料金が月額ほぼ変わらず、予算管理の面で高く評価されました。問い合わせ窓口も一元化されており社内管理部門の負荷軽減にもなります。
「『Arcstar Universal One』を導入したことは、今後の当社のIT整備において非常に重要な位置を占めると思います。テレビ会議をはじめ、さまざまなクラウドサービスも容易に導入できる基盤ができました」と担当者は語ります。

 

ケースB:投資対効果に優れた次世代ネットワーク

サービス名称:KDDI「Wide Area Virtual Switch
参照記事:http://www.kddi.com/business/case_study/nipro/

 医療機器メーカーB社が選んだのは、KDDIの広域イーサネット「Wide Area Virtual Switch」でした。
 B社は、主要拠点ではKDDIが従来から提供している広域イーサネットサービス、中・小規模拠点にはコストの安いインターネットVPN回線をそれぞれ導入していましたが、障害発生時に故障箇所を素早く特定し、さらにネットワークごとにそれぞれ異なる対応を行う必要があり、管理部門の負担が大きくなっていました。… 続きを読む

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鈴木 光勇

鈴木 光勇

ITライター

1980年代から第一線でコンピュータ・通信技術を観察し、ライターとして活躍。記事執筆および著書多数。

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