もう迷わないクラウドサービス選び(第3回)

クラウド・コンピューティングを支えるネットワーク

2013.06.19 Wed連載バックナンバー

クラウド接続に利用するネットワークの要件

 自社でハードウェアやソフトウェアを保有せず、ネットワークの先で提供されているサービスを使ってIT環境を構築するクラウド・コンピューティングが多くの企業で使われ始めています。ただ実際にクラウドサービスを利用する際に、信頼性やセキュリティといった側面から重要になるのが「ネットワーク」です。

 信頼性が低く、たびたび障害が発生して通信ができなくなるようなネットワークでは、安心してクラウドサービスを利用することはできないでしょう。また、セキュリティにも配慮する必要があります。特に顧客の個人情報といった機密性の高い情報をクラウドサービスで扱う場合、盗聴などによって情報漏えいが起こってしまうと大きな問題に発展する可能性があるでしょう。

 それでは、具体的にどのようなネットワークを使ってクラウドサービスを利用すべきなのでしょうか。今回は、クラウドサービスを利用するためのネットワークに求められる要件を考えていきます。

 

インターネット接続では暗号化が必須

 クラウドサービスの多くは “インターネット”、あるいは通信事業者の閉域網を利用した“VPN(Virtual Private Network)サービス”(NTTコミュニケーションズ「Arcstar Universal One」、KDDI「Wide Area Virtual Switch」、ソフトバンクテレコム「ホワイトクラウド SmartVPN」など)のいずれかを使います。そこでまず、両者のメリットとデメリットを見ていきましょう。

 インターネット接続でクラウドサービスを利用する大きなメリットとしては、すでにインターネットに接続している環境であれば「別途費用を負担することなく接続できる」ことが挙げられます。また新規でインターネット回線を敷設するといった場合でも、多くの通信事業者から「安価なインターネット接続サービスが提供されている」ため、後述するVPNサービスよりもコストを抑えられます。

 一方デメリットとしては、「セキュリティ面での課題」が挙げられます。そもそもインターネットには、通信経路上で盗聴や改ざんが行なわれるリスクがあり、これを防ぐために通信内容を暗号化して送受信するといった対応が不可欠です。なお企業によっては、機密性の高いデータをインターネット経由で送受信することを認めていないケースもあり、これに該当するケースではインターネット経由でクラウドサービスを利用することができません。

 「不正アクセスの問題」も無視できないでしょう。インターネット経由で利用するクラウドサービスでは、サービスを利用する際にユーザーIDとパスワードなどを使ったユーザー認証を行ない、それによって利用者を特定する仕組みになっているケースが一般的です。ただ、このユーザーIDとパスワードが外部に漏えいした場合、第三者によってクラウド上に蓄積している情報が盗まれたり、あるいはサービスが不正に利用されたりする可能性があります。

セキュリティ面での課題

 こうしたセキュリティ以上に大きな問題となる可能性があるのが「ネットワークの品質」です。インターネットは基本的に品質や性能についての保証がないベストエフォート型のネットワークであり、突如として通信速度が低下したり、あるいは通信が途切れたりするといったことが起こりえます。またインターネットは特定の通信事業者が管理しているネットワークではないため、トラブルが発生した際に原因の究明が難しく、また場合によっては復旧に時間がかかるといったリスクがあることも意識しておく必要があるでしょう。

 インターネットはコストや手軽さといった面から、多くのクラウドサービスが標準で対応していますが、ここまで解説したようにセキュリティや品質といった面で課題が残ります。それを解決できるネットワークとして挙げられるのが、通信事業者の閉域網を利用するVPNサービスです。

 

安全にクラウドを利用できるVPNサービス

 「閉域網」とは、特定のユーザーのみが利用できるネットワークで、通信事業者がネットワークサービスを提供することを目的として構築するケースが一般的です。この閉域網を使って提供されるサービスの1つが「VPNサービス」で、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter