もう迷わないクラウドサービス選び(第2回)

各社のIaaSに見るサービスの違い

2013.06.12 Wed連載バックナンバー

IaaSを選ぶ際のポイント

 IT環境の構築に必要なリソースをネットワーク上でサービスとして提供するクラウド・コンピューティングには、3つのサービス提供形態があると前回解説しました。具体的には、サーバーを提供する「IaaS(Infrastructure as a Service/サービスとしてのインフラ、アイアース)」とソフトウェアの実行環境を提供する「PaaS(Platform as a Service/サービスとしてのプラットフォーム、パース)」、そしてソフトウェアそのものを提供する「SaaS(Software as a Service/サービスとしてのソフトウェア、サース)」の3つです。

 これらの中で、もっとも汎用的に使えるのがIaaSです。たとえば「現状のIT環境を大きく変えずにクラウドに移行したい」、あるいは、「自社の業務に合わせて最適なIT環境をクラウド上に構築したい」などといった場面で利用されています。

 IaaSは「ネットワーク経由でサーバーを提供するというサービス」で、利用した期間に応じて料金を支払います。このため、本番で利用する環境とは別に検証用のサーバーが必要といった場面において、検証する間だけIaaSを利用すれば、検証のためにわざわざサーバーを購入するといったコストの無駄を省けることがメリットです。

 このIaaSを実際に利用する際に重要となるのが、サービス選びです。現在多くのサービス事業者がIaaSを提供していますが、当然ながらサービスの内容はそれぞれ異なります。そこでここでは、「料金体系」や「オプションサービスの内容」、「グローバル対応」、「信頼性」といった観点から、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング Enterprise Cloud」とアマゾンの「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」、ニフティが提供する「ニフティクラウド」、ソフトバンクテレコムの「仮想サーバ」のそれぞれを見ていきましょう。

 

利用料金はネットワーク転送量に注意

 サービスを選定する際、ポイントの1つとなるのがコスト。いくら高品質なIaaSであっても、あまりに高価であれば導入しづらいでしょう。そこで、まずは各サービスの料金体系を比較してみました。

サービス名 サーバースペック 料金
Bizホスティング Enterprise Cloud
(Standardクラス)
CPUは1GHz単位、メモリは1GB単位で調整することが可能 CPU:1GHzあたり0.073円/分(月額上限2,100円)
メモリ:1GBあたり0.055円/分(月額上限1,575円)
ストレージ:50GBあたり0.055円/分(月額上限1,575円)
アマゾンEC2
(オンデマンドインスタンス・東京リージョン)
スモール(デフォルト):CPU1コア、メモリ1.7GB、ストレージ160GB Linux/UNIX料金:0.088ドル/時
Windows料金:0.115ドル/時
ニフティクラウド mini:1vCPU(1GHz)、メモリ512MB、ストレージ30GB(Linux)/40GB(Windows) 起動時:7.35円/時
停止時:5.25円/時
(月額料金の場合5,040円)
仮想サーバ ハーフ:CPU1/2コア、メモリ1GB、ストレージ100GB 月額5,250円

 各サービスを見ていくと、まずBizホスティング Enterprise Cloudニフティクラウドは、分単位、あるいは時単位で料金を支払う従量制と、一定の月額利用料金を支払う定額制のいずれかをユーザーが選択できる形となっています。アマゾンEC2は従量制のみ、ソフトバンクテレコムの仮想サーバは定額制のみとなります。

 サーバーのスペックの選択にも違いがあります。Bizホスティング Enterprise CloudはCPUとメモリをそれぞれ1GHz、1GB単位で指定する形で、それ以外のサービスはあらかじめ用意されたプランから選択します。たとえばアマゾンEC2の「オンデマンドインスタンス」の場合、もっとも低スペックの「スモール」やハイスペックの「ダブルエクストララージ」など12種類のプランがあります。

 IaaSの料金をチェックする場合は、単に表面的な価格だけでなく、その価格で提供されるサーバーのスペックもチェックしなければなりません。表面的には同じ価格でも、CPUの処理能力や割り当てられるメモリ容量に違いがあることが多いためです。また、料金形態の柔軟性にも着目しましょう。たとえば「検証のためにサーバーを数時間だけ使いたい」といった場面において、分単位や1時間単位で利用できるIaaSであればコストを抑えてサーバーを利用することができるからです。

 なおアマゾンEC2では、仮想サーバが運用される地域によって料金が異なる点に注意が必要です。具体的には、地域として米国北部を選択した場合の「スモール」と呼ばれるプランの料金は1時間あたり0.06ドルですが、東京になると0.088ドルになります。遠隔地にあるサーバーを利用した場合、ネットワーク上での信号のやり取りに時間がかかる「遅延」と呼ばれる現象が発生し、快適に利用できなくなってしまう可能性があります。このため安価だからと海外の拠点を選択してしまうと、後々トラブルに発展する恐れがあります。

 次に、「ネットワーク転送量」に対しての課金があるかどうかも重要なポイントです。これはサーバーに対してデータをアップロードしたり、あるいはサーバーからデータをダウンロードしたりした際に発生する料金です。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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