オフィス移転は単なる「引越し」ではない

絶対に失敗しない!一つ上のオフィス移転の進め方

2013.01.04 Fri連載バックナンバー

 オフィスの移転では、什器や資料だけを運ぶわけではありません。サーバーやパソコンなどのIT機器、ネットワークなどのインフラの移動も必要なため、移転時のリスクや各工事ベンダー、工事ベンダー間の調整など、調整負荷が大きくなります。オフィス移転に有効なサービスを紹介します。

 

高まるオフィス移転の重要性

 最近、首都圏のオフィス需要が、これまでと一転して、回復基調にあることをご存知でしょうか。
 2011年の震災をきっかけに、オフィスビルの耐震性能やLED照明などのエコ対応が注目を浴びているのはご存知のとおりです。しかしそれだけではありません。合併・買収や組織の見直しにより分散していたオフィスを、最新のITインフラが整備されたビルに集約することで、業務効率化や社内コミュニケーションの活発化を狙う動きもあります。リーマンショック以来、長期にわたって低下してきたオフィス賃料の値ごろ感も、これを後押ししています。オフィス移転の背景には、次の5つがあります。

・オフィスビルの耐震性能の重視
・企業に求められる、「省エネ・温暖化対策」を実現するため
・オフィス集約化によるコミュニケーション活発化
・長期にわたるオフィス賃料の低下
・入居しているビルの老朽化

 こうした背景から、移転を単なる「事務所の引っ越し」に終わらせてはもったいないと考えるのは当然でしょう。移転を機に、社内で管理していたサーバーをデータセンターへ移設したり、クラウドサービスの利用に切り替えたりする事例も多く、戦略的なオフィス移転が増えつつあります。

 このような事情を反映してか、不動産サービス業を展開するシービーアールイーグループが行った調査「オフィスに対する意識調査2012」の結果によれば、首都圏にオフィスを構える企業の約6割が移転を計画、もしくは検討したいという意向をもっているようです。

 しかし、「オフィスの移転」と一口に言っても、昔と今では定義が異なると考えるべきです。以前は、什器やパソコンなどの「モノを運ぶ」程度の意味でしたが、現在は、それはもちろんのこと、ネットワークやシステムまで含めた「機能を移動する」という意味合いが濃くなっています。そのため、オフィスの移転においては、次の課題があります。

(1)ITの複雑化による移転後の稼働リスク

 オフィスには、インターネット回線や社内のVPNなどIP系のネットワーク、電話やISDNなどのレガシー系ネットワーク、固定電話機やコードレス電話機が接続されたPBX(構内交換機)やビジネスホン、TV会議システム、監視カメラ、パソコン、サーバー、複合機など数多くのIT機器があります。また、構築された社内システムや導入された業務パッケージなどもあり、これらについて、新しいオフィスへ確実に移動し問題なく稼働させる必要があります。特に、通信回線の移転には専門のノウハウが必要です。電話会社に依頼する通信回線の引き込みや撤去、電話番号変更に伴う移転先の番号の案内や転送、屋内配線との接続設定、通信回線に合わせた社内ネットワーク構築などの要素があり、移転後すぐに使えるはずの通信回線が機能しないと、丸一日、仕事ができなかった、ということにもなりかねません。

(2)複数の業者間の調整負荷の大きさ

 多くの企業では、パソコンはA社、電話はB社、ネットワークはC社というように、適材適所でマルチベンダーの構成をとっているのが一般的です。その上、オフィスの移転に際しては、新しくキャビネットや机などを調達する什器メーカー、資料や機材などを運ぶ物流ベンダーなど、多くの関係者がかかわるのが一般的です。

 社内のシステムも、導入段階で最適なベンダーが選択されるため、たとえば顧客管理と会計でベンダーが異なったりするのは珍しくはなく、これらシステムのサーバー移転に際しては、各ベンダーとの個々の調整が必要となります。また、販売管理と生産管理のように、たとえば受注データなどで関連している場合には、サーバーの移転後、システム全体で整合をとった検証も必要となります。つまり、移転の計画からベンダーとの調整、移転後検証にいたるまで、総合マネジメントの役割が重要となります。

(3)IT基盤の抜本的な見直しに関するノウハウの不足

 オフィス移転によって得られるメリットとしては、オフィス賃料の低下や災害対応、コミュニケーションの円滑化はもちろん、IT基盤の抜本的な見直しがあげられます。たとえば、無線LANを生かしたフリーアドレスなどの実現、データセンターへサーバーを移転することによるサーバー運用負荷の軽減やセキュリティの強化など、IT基盤の見直しは、オフィス移転の機会を生かすのが効果的です。しかし、最新の製品や技術に関する知識やノウハウが不足し、移転の機会を生かせなかったり、効率的に対応できないことが多くあります。

 

オフィス移転の事例

 情報サービス業A社は、グループ会社との統合による業務拡大に伴い、新しいオフィスへ移転することを決めました。移転元の拠点は複数あり、什器はもちろん、100台以上のパソコンやサーバー等の移設が必要です。新しいオフィスでは複合機やビジネスホンの更改に加え、会議室でのネットワークの整備、社員が活発に交流できるようなミーティングスペースの確保など、環境の改善を図ることになりました。

 A社では顧客からの受託業務を多く手がけており、セキュリティルーム内には専用回線に接続された端末が多く設置されています。これらの移転も間違いなく実施しなければなりません。

 そこでA社では、これらの移転作業を統合の期日に合わせて滞りなく進めるために、専門の業者によるオフィス移転マネジメントサービスを利用することにしました。

<A社総務担当部長のコメント>

「これまで同じビル内でのフロア移転の経験はありましたが、これだけ大掛かりな移転は初めてでした。そのため、NTTコミュニケーションズ「ICT移転サービス」を利用することにしました。

1      検討項目のヌケ・モレや着手遅れが心配でしたが、スケジュール表や作業項目一覧、課題管理表等により、必要な情報を提示することに専念できました。

2      移転にあたって意外に大変な社員向けの説明会も代行してくれました。引っ越しスケジュールやPC等の梱包手順が詳しく説明されている移転マニュアルが役に立ちました。

3      什器については、既存什器との調和を考慮したものを提案してくれました。また、レイアウトも含めてこちらの要望に応じた案を何度も出してくれました。

4     移転当日の立ち会いはもちろん、物流業者への指示や入居ビルとの調整も代行してくれましたので、最小限の社員で対応することができました。

5      引っ越しの翌日はスタッフが常駐して、LAN・WANのトラブルに対応してくれました。また、その後のアフターケアも行ってくれています。

 準備期間が非常に短く、引越日が週末の2日間と大変タイトなスケジュールでしたが、無事に移転が完了できたのは専門家の助けがあってのことだと感じています」

 一方、あるサービス業B社では、物流業者へ引っ越しを依頼しました。しかし、実際の引っ越しでは、荷物の到着が大幅に遅れてしまい、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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