万一の事態でも事業が継続できる体制を整えるには?(第5回)

遠隔地バックアップで真剣BCP

2013.01.08 Tue連載バックナンバー

 BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)の中でも、本格的なプランの一つが遠隔地バックアップです。万一自社で不測の事態が発生しても、被害が及ばないであろうと思われる遠隔地にデータやシステムを置いておき、いざとなったらそれを使って業務を続ける遠隔地バックアップの考え方とそのメリット、バックアップサービスの選び方のポイントについて見ていきましょう。

 

どれぐらい遠隔地であれば十分?

 「このデータベースの販売管理データはうちの会社の最重要資産。ちゃんとバックアップはしているけれど、実はバックアップデータもここにある。今、大きな地震が起こったらどうしよう?」

 専門商社○×社で情報システム部課長を務めるBさんは、東日本大震災以降、なんだかよく眠れません。システムの中にあるデータが企業活動の生命線なのに、現状ではデータ保護が十分じゃない気がするからです。

 BCPを考える場合、業務データだけでも遠隔地にバックアップしておくのが理想的です。地震などオフィスが大きな被害を受ける事態が発生しても、無事だったところにオフィスを確保してシステム環境を整え、そこへ業務データを戻せば企業活動を再開できるからです。
 
 では、どれぐらい遠隔地であればバックアップは十分といえるでしょうか。阪神淡路大震災以後生まれた定説では、このときの被災範囲が狭かったので、本社拠点とバックアップ先で約60km離れていれば良いとされました。しかし、東日本大震災では津波が発生したこともあって被災地域が広範囲に及び、60kmではとても心もとないことが証明されてしまいました。懸念されている南海トラフ巨大地震では浸水地域が最大で1,000平方kmを超すという内閣府の予想も出ています。少なくともバックアップ先は、本社から500kmから1,000kmは離れていた方がいいでしょう。

 

時代は物理バックアップからネットワークバックアップへ

 従来は、遠隔地バックアップというと、業務データをバックアップした媒体をそうした遠隔地へ車で運搬するのが主流でした。自社の業務上、遠隔地に営業所、支社・支店、協力会社があるようなら、まずはそこへ保管を依頼するのも一法です。物理的な遠隔地保管を請け負うサービスもあります。

 ただ、この方法は、本社とバックアップ先の距離が500kmも離れるとなると搬送が大変で、保管の間隔は最短でも一日単位になってしまいます。いざ何かあると、システムを一日前の状態には戻せるけれど、それ以降のデータは失われてしまうことになります。搬送中の物理的な事故についても、心配はついてまわります。

 しかし、今やネットワークコストが安価になってきました。ですから、ネットワーク経由でデータをバックアップすることができます。方法としては大きく2つあって、業務データだけを遠隔地へ送る場合と、システムそのものをもう1セット遠隔地に設けてそこへ業務データをそのつどコピーしていき、いざとなったら、そのシステムを使って業務を再開するというものがあります。前者の方はコストが安価に収まりますが、バックアップしているのはデータだけなので、仮のオフィスでシステム環境を整えている間、業務は止まってしまいます。その点、後者はシステムを切り替えればすぐ使えるので、大きな安心を得ることができますが、コスト負担は大きくなります。

 

遠隔地バックアップサービスの選び方

 ネットワーク経由でデータをバックアップする場合の方法としては、大きく分けると2つ考えられます。1つは、遠隔地のデータセンターの場所(ラック)だけを借りて、そこにバックアップ用のサーバーを自社で導入する方法。もう1つの方法は、事業者が提供するバックアップサービスを利用する方法があります。
 本番システムと全く同じバックアップシステムを常時稼動させておくことができる場合は別として、一般には、本番システムが災害によりダウンしてからバックアップシステムを起動し、予め保管しておいたデータをバックアップシステム上で復元させ、業務を再開することになります。この場合には、復旧までの時間をどれだけ短くできるかが重要になります。業務再開までに数日もかかるようでは、企業活動そのものに大きな影響を与えてしまいます。
 この点で考えると、災害時に遠隔地のデータセンターは無事だったとしても、交通手段が混乱していたりすると、自社のスタッフがすぐに駆けつけて、データを復旧させることが難しいことも考えられます。
 そこで、今回は専門の事業者が自社のデータセンターで運営する、バックアップサービスの利用について考えてみます。

 どのような観点でバックアップサービスを選ぶべきでしょうか。
 利用する立場としては、なんといってもコストが気になるところですが、これは自社で… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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