「節電の夏」到来。事業を止めないIT(第2回)

電力事情がITに突き付けている課題とは

2012.07.09 Mon連載バックナンバー

大震災時に見えたIT課題

 東日本大震災は、電力供給の不安定化がIT利用におよぼす多様な影響をまざまざと実感させ、多くの課題を私たちに突き付けた。

 2011年3月11日(金)14時46分の地震発生直後から停電が起こり、東北6県で約450万戸がその日の夜間まで停電した。翌日ないし翌々日には各地域の9割程度まで電力が回復したが、津波被害のひどかった宮城県では9割回復までにおよそ10日間が費やされた。固定・携帯電話も地震直後から機能しなくなり、9割程度の回復までに2~3日を要した。

 一方、コンピュータネットワーク回線は、ケーブル断絶による被害を各地で受けていたが、迂回ルートを複数もっているNTT Comなどのキャリアのサービスでは完全な通信途絶に至らずに済んだ。断絶したケーブルの修理も各社が突貫工事で臨み、2~3日のうちにはほぼ完全に復旧した。

 この一連の出来事でまずクローズアップされたのが、災害時の通信の問題だ。固定電話も携帯電話も通じないなかで、Skypeだけは通話できたケースがあった。携帯電話で通話はつながらないが、メールなら送れたケースもあった。さまざまな通信手段が弱点を露呈する中で、インターネットや携帯電話網を使った通信が比較的頼りになることがわかった。

 さらにシステム用の非常用電源の課題も明らかになった。サーバールームなどで管理しているサーバーにはUPS(Uninterruptible Power Supply/無停電電源装置)が接続されていても、オフィス内のサーバーには用意されていないことがほとんどだ。突然の電源喪失により、システムとデータのすべてを喪失してしまう可能性がありリスクが高いことが広く認識された。

 また、データのバックアップ運用の問題点も改めて認識された。たとえシステム復旧が速やかに行なえたとしても、バックアップデータがなければ業務はできない。最後のバックアップ実行から停電までの間の業務データはサーバー内にしか存在しないため、サーバー障害を起こすとその時間帯の業務データが復旧不能になりかねない。

 加えて、バックアップメディアをサーバーと同じ拠点内、同じフロアに保管するリスクもクローズアップされた。もしもバックアップ先のテープやディスクも災害被害によって破壊・喪失したら、すべてのデータを一度に失い、事業再開が著しく困難になる。… 続きを読む

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長田 広海

長田 広海

フリーライター

専門家とアマチュアの間をつなぐメディエイターになりたいと思って早や15年。BtoB(Business to Business/企業間取引)のIT関連記事を中心に、Webメディア、各種書籍、雑誌に記事を提供している。

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