グローバルスタンダード経営の検証(第4回)

リーマン買収で気を吐く野村HD

2014.06.09 Mon連載バックナンバー

 2008年9月、リーマン・ブラザーズ破たんによる「リーマン・ショック」の衝撃が世界を覆う最中、野村證券を傘下に置く野村ホールディングス(以下、野村HD)が、リーマンのアジア、欧州部門の買収に乗り出した。サブプライムローン問題で巨額の損失を抱え、身動きの取れない欧米金融機関を尻目に、日本の大手銀行や大手証券には千載一遇の好機到来とみられた中、野村の大型M&Aが注目された。グローバルトッププレイヤーを目指した野村の決断は、5年半を経てなお評価は定まらない。だが、従来の日本企業にまれな経営判断のスピードや戦略性は、グローバルスタンダード経営への脱皮を急ぐ野村の強い意欲の表れだったことはまちがいない。

 リーマン買収から半年後の2009年4月24日、野村HDが発表した09年3月期決算は、最終損益で7,094億円の赤字を出した。赤字の規模は過去最大だった。リーマン買収の関連費用は2,300億円にのぼり、景気悪化の影響を受けた有価証券や不動産など評価損1,500億円とあわせ、国内営業の安定収益を吹き飛ばし、リーマン買収が経営の屋台骨を直撃した形だ。それでも野村は強気だった。投資銀行業務は単独で展望が開けないが、リーマンとの統合効果が出てくれば今後の収益回復に期待がもてたからだ。

 だが、マイナス面は無視できなかった。欧州部門で5,500人、インド拠点のアジアで2,000人以上、合計約8,000人もの人員を野村は一気に抱え込んだ。投資銀行業務で高額報酬を受け取る社員こそ本来獲得したかった人材なのだが、買収による一過性の費用でなく、固定費たる人件費は欧州・中東部門で従来の約300億円から約1,100億円へ4倍近くも増えたとされる。それでも高額のボーナス保証期間が切れたら即退職するなど流出が続き、すでに8,000人のリーマン出身者の3分の1以上が退職したとの指摘もある。

 

期待したリーマン人材も退職

 そんな中、野村が期待した人材が12年1月に会社を去った。… 続きを読む

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産経デジタル

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