ビジネス界の巨匠が説く経営成功の方程式(第3回)

経営の神様、松下幸之助の「人をつくる経営」の真意

2016.03.01 Tue連載バックナンバー

 「ダム式経営」「水道哲学」など、数々の経営の考え方を示した松下電器(現:パナソニック)グループ創業者、松下幸之助。その根底には常に「ものをつくる前に人をつくる」という、人を最重要視する姿勢があった。

 

松下電器は人と電気機器を作る会社

 「松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております」

 松下幸之助が生前、繰り返し語ったという言葉である。

 “経営の神様”とも呼ばれる松下幸之助は、このように経営において、まず「人ありき」という考え方に徹し、生涯を通じて「人はどうあるべきか」を説き続けた。

 それは、松下幸之助が一代で松下電器を世界的な電機メーカーに育て上げた経営者でありながら、PHP研究所松下政経塾を立ち上げるなど、倫理教育や政治家の育成にも意を注いだ経歴からも、うかがい知ることができる。松下幸之助について書かれた書籍は数知れず、また松下幸之助自身も多くの著書を遺した。

 とくに1968年に出版された『道をひらく』は累計510万部を売り上げ、戦後第2位のベストセラーになるなど、パナソニック社員のみならず、多くの人々に今もなお影響を与え続けている。現代日本の名だたる経営者たち――京セラの稲盛和夫や日本電産の永守重信、ユニクロ(ファーストリテイリング)の柳井正なども、「松下幸之助に学んだ」と口を揃える。松下幸之助が経営の神様と呼ばれる裏付けともいえよう。

 しかし、なぜ松下幸之助は「まず人ありき」という思想に行き着いたのか? 電機メーカーであるのだから、「まず商品ありき」という考え方をしてもよいのではないか?

 その松下幸之助の思考の根幹を知る一助となるのが、自著『人間を考える 第一巻 新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて』(PHP研究所刊、松下幸之助著)である。PHP研究所社長・江口克彦によると、この一冊をまとめあげた際、松下幸之助は次の言葉を残したという。

 「これ、まとめたからな、わしは、もう、死んでもええわ」

 同著にまとめられた松下幸之助の言葉とともに、彼の思想の真髄に迫る。

 

“人間とはどのような生き物か”という疑問

 『人間を考える』には、松下幸之助が「幾百巻の書をつくしても論じきれないような大きな問題」という断りが記されている。そのため、“宇宙観”というような、ビジネス書には似つかわしくない言葉も度々出てくる。ただ、松下幸之助の思想を読み解くためには、このような大げさとも思える表現に、正面から向かい合う必要がある。

 松下幸之助の“宇宙観”とは、… 続きを読む

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峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ライター・キャリア&ITコンサルタント

IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行なう。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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