経営者が知っておきたいビジネスの話(第10回)

オープン・イノベーションの落とし穴に気をつけろ!

2016.03.02 Wed連載バックナンバー

オープン・イノベーションのメリットとは?

 技術を自社で独占せず、他社へ提供したり、また逆に他社から提供を受けたりし、最終的にイノベーションを起こすことを「オープン・イノベーション」といいます。

 前回の記事では「オープン・イノベーションとは何か?」という概略と実際の事例をご紹介しました。連載第2回目となる今回は、オープン・イノベーションのメリットとデメリットを見ていくことにしましょう。

 

メリット1:新製品開発までのスピードアップが図れる

 企業が、これまでになかった新製品開発に取り組む際には、大変な困難が伴います。新製品に対する理想的なイメージは明確に持っているものの、試作品段階では市場化する基準に満たずに、何度も試行錯誤を繰り返すことは、多くの企業が経験していることでしょう。

 もし、新製品開発のすべてのプロセスを自社単独で行うなら、新製品開発までの期間が長期化することは避けられません。1つの新製品を開発するのに、数年、長い場合は十数年の歳月を費やすこともあり得るのです。

 たとえば伊藤園は、缶入り煎茶を開発するに当たって、最終工程で混入する空気によって煎茶が酸化し変色するという問題などを抱えて、なかなか製品化に漕ぎ着けられずにいました。ある時、取引のある東洋製缶から最終工程で炭酸ガスを吹き付けながら缶の蓋を閉じると空気が抜け酸化しなくなるという技術を教わり、試してみたところ確かに酸化しない缶入り煎茶が出来上がりました。新製品の開発にかけた期間はおよそ10年。1985年に世界初の缶入り煎茶がようやく陽の目を見ることになったのです。

 恐らく伊藤園がもっと早く他社から技術を得ることができていれば、新製品開発に要した期間は短縮できていたでしょうし、逆にすべてを自社のみで解決しようとあくまでもクローズド・イノベーションにこだわっていれば、最終的に市場化できなかったかもしれません。

 このようにオープン・イノベーションは、新製品の開発期間を短縮するために非常に有効な手段といえるのです。

 

メリット2:コスト低下につながる可能性がある… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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