経営者が知っておきたいビジネスの話(第9回)

複雑化する市場で成功の鍵を握るイノベーションとは

2016.02.15 Mon連載バックナンバー

ビジネスが複雑化する時代に重要性を増す『オープン・イノベーション』とは?

 従来のイノベーションは、企業の内部でアイデアを考え、研究者や開発者によって技術に置き換えられて製品化されるというプロセスを経てきました。いわば閉じられた世界でイノベーションは秘密裏に進められ、世に出た時には驚きと共に迎えられるという企業にとって一大プロジェクトなのです。

 ただ、イノベーションを目指して開発した製品やサービスは必ずしも成功するとは限りません。それどころか、失敗する確率の方が圧倒的に高いといっても過言ではないでしょう。しかも、最近では技術革新のサイクルが極端に短くなり、どんな革新的な製品やサービスを市場に投入して成功を収めたとしても、わずか数ヶ月で同様の製品が他社から発売され、陳腐化してしまうことも珍しいことではなくなってきているのです。

 企業はイノベーションを起こすために、莫大な資金や労力を投じます。ところが、その成功確率の低さやプロダクトライフサイクルの短命化からリスクは非常に大きなものになり、場合によっては企業の存続さえ脅かすことも考えられます。

 そこで最近ではイノベーションに対する考え方を180度転換する必要が出て来たのです。つまり、イノベーションは自社のみで実現するものではなく、自社の考えたアイデアに、他社が開発した技術を応用してイノベーティブな製品やサービスを生み出せばいいのです。

 そうすれば、閉鎖的な空間で研究されていた技術とは比較にならないくらいの技術を活用できますし、開発期間も劇的に短縮でき、イノベーションに関わるリスクを最小限まで低くしていくことができます。

 また、逆から見れば自社のために進めていたイノベーションが失敗した時に、それまでに開発した技術は何ら価値を生み出すものではありません。そこで自社が開発し商業化できなかった技術を、他社のイノベーションに転用することにより、最終的に世の中を変えるイノベーションに寄与し、しかも投資を回収することにもつなげていくことができるようになるのです。

 このように、従来のように1社単独でイノベーションを起こそうとすることを『クローズド・イノベーション』と呼ぶのと対照的に、自社が技術を独占することにこだわらずに、他社へ提供したり、また逆に他社から提供を受けたりして、最終的にイノベーションを起こす手法が『オープン・イノベーション』と呼ばれるのです。

 それでは、ここで実際にオープン・イノベーションの活用事例をご紹介しましょう。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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