英語は通じる?日本語は?(第4回)

マルチリンガルは当たり前~シンガポールの言語事情

2015.12.18 Fri連載バックナンバー

 民族も宗教も言葉もさまざまなものが入り混じる多民族社会シンガポールの人には、全国どこに行ってもほぼ日本語で用が足りる日本の状況はちょっとした驚きのようです。話す相手で言葉が切り替わるマルチリンガルが当たり前の社会には、どんな背景があるのでしょうか。

 

マルチリンガル国家の国語と公用語

 シンガポールの国語はマレー語で、国歌「マジュラ・シンガプーラ」(Majulah Singapura)の歌詞もマレー語です。しかしマレー語は多分に象徴的な意味合いが強く、異なる民族間の共通語の役割を果たしているのは英語です。

 シンガポールの人口は546万9,724人(2014年)。このうちシンガポール人(永住権をもつ外国人を含む)は387万739人、外国人が159万8,985人です。シンガポール人を構成する民族(2014年)は、中国系が287万4,380人(74.3%)、マレー人が51万6,657人(13.3%)、インド人が35万3,021人(9.1%)、そのほかが12万6,681人(3.3%)です(シンガポール統計局 Yearbook of Statics Singapore 2015)。

 公用語は英語と、華人(中国からの移民の子孫)が使う中国語、マレー系住民が使うマレー語、インド系の人びとが話すタミール語の4つ。英語は公文書から公共サインに至るまで広く使われていますが、英語以外の公用語が併記されていることも少なくありません。

 日常会話でも、英語はかなり通じます。イギリス統治時代に「英領マラヤ」の中心だったことから、早くに公教育に採り入れられてきた上、違う民族との意思疎通をはかる日常的な必要もあって、多くの人がある程度の英語を理解します。

 ただ中国語でやりとりできる中国からの新来の移民や、マレー語と共通の語彙が多いインドネシアからの労働者については、英語以外で十分用が足りるために英語を話さないこともあります。

 

シンガポーリアンの英語力

 現在は紙媒体の新聞を買う人よりもインターネットでニュースを読むことが多い時代ですが、参考までに新聞の発行部数(2014年)を調べると、全体で137万4,856部のうち英語紙が71万5,025部、中国語紙が59万7,826部、マレー語紙が4万6,584部、タミール語紙が1万5,421部で、英語の新聞を読む人が全体の52%で一番多いのがわかります(以上、数値はYearbook of Statics Singapore 2015より)。

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川崎 典子

川崎 典子

ライター

マレーシア・クアラルンプール在住。出版社、国際協力NGO勤務などを経て、現在、編集・ライター。「海外書き人クラブ」会員。1990年代に1年超の長旅をしたのがきっかけで「歩く旅」にめざめ、以後20年にわたって東南アジアとかかわっています。これまでの訪問国は、アジア地域を中心に20か国以上。歴史や文化を軸に、東南アジアの食や手工芸などについて寄稿しています。

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