京都の名庭園、その歴史と文化を愉しむ(第4回)

あの総理大臣も愛した平安神宮・銀閣寺の庭園を巡る

2015.12.02 Wed連載バックナンバー

 京都にはさまざまな観光名所がありますが、社寺や名所にある庭園を巡る楽しさも見逃せません。長い歴史の間に造られた数多くの庭園があり、敷地の一部に作られた「坪庭(つぼにわ)」や、石や砂で山や水を表現する「枯山水(かれさんすい)」、池を中心に作庭する「池泉廻遊式(ちせんかいゆうしき)」などバラエティに富んでいます。

 それぞれの庭園には造られた時代の歴史や文化が反映され、ゆかりのある人々の想いが込められています。前回は三条通から南の東山地区の庭園を紹介しましたが、今回は三条通以北の平安神宮・銀閣寺周辺にスポットを当てます。

 

日露戦争開戦を決定した、山県有朋の別荘の庭園

 まずは、平安神宮の南にある「無鄰菴」(むりんあん)を紹介しましょう。無鄰菴は、明治・大正の元老であり、第3代、第9代の内閣総理大臣を務めた山県有朋の別荘。園内にある洋館では、日露戦争直前に山縣をはじめ伊藤博文、桂太郎などの元老たちによる無鄰菴会議が行われ、ここでロシアとの開戦が決定しました。

 敷地の大半は、有朋が自ら設計・監督し、作庭家・7代目小川冶兵衛が作った庭園で占められます。東山を借景とした緩やかな傾斜地に、琵琶湖疏水の水を引き入れた「池泉回遊式庭園」で、三段の滝や池、小川と芝生を配した水と緑に満ちた庭園です。

 園内にある建築物は、簡素な木造2階建ての母屋と、藪内流の「燕庵」を模した茶室、そして煉瓦造2階建ての洋館。母屋では抹茶の接待も受けられるので、ゆったりと縁側に腰をおろし、ここから庭園の四季の表情を眺めるのもおすすめです。

 

平安神宮には4つの池泉回遊式庭園が

 無鄰菴からは琵琶湖疏水を渡り、京都市美術館と国立近代美術館の間の岡崎通を北上すると、まもなく平安神宮の大きな赤い鳥居が見えてきます。

 平安神宮は、平安遷都1100年を記念して建立されたもので、都を京都に移した桓武天皇と平安京最後の帝・孝明天皇を祀っています。社殿は平安朝の正庁である朝堂院を8分の5の大きさに再現。碧瓦や丹塗りが、鮮やかな外拝殿の大極殿や神門の応天門、蒼龍門、白虎楼など、平安朝さながらの風格を漂わせます。

 社殿の背後には… 続きを読む

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高野 晃彰/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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ベストフィールズ代表

大手アパレルで店舗開発を担当、その後、専門誌系出版社で企画編集を中心に勤務、退社後、編集プロダクション「ベストフィールズ」とデザインワークス「デザインスタジオタカノ」を立ち上げる。旅行・歴史・フード・ペット・マリンスポーツなどのエンタメ系から経済、ファッションまで幅広い分野での書籍・雑誌・ムック・商業制作物の執筆、編集、撮影、制作を行なっている。

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