ひと工夫で印象が変わる、大人のファッション講座(第3回)

粋に所作も決めたい、男のための扇子

2015.05.17 Sun連載バックナンバー

 一年を通して扇子を持つ人が多くなってきました。年配者だけでなく若者が持つようになり、市民権を得ているようです。嫌みなく持てる扇子選びと扇子の正しい使い方を紹介します。

 

ビジネスシーンを優雅に彩る扇子、実は日本生まれ

 将棋士や時代劇などでおなじみの扇子ですが 、現代のビジネスシーンでも扇子を使っている方をよく見かけます。せっかく扇子を日常の中で使うのであれば、持ち歩き、所作も美しく決めたいもの。そこで気になるのが扇子選びと使い方になります。

 扇子はそのイメージから、中国で誕生し、日本に渡ってきたものと思っている人も多いようですが、れっきとした日本生まれのオリジナル芸術品です。平安時代の初期に宮中で、筆記用具として使用されていた木簡から派生し、京都で作られたのが始まりです。

 当時は紙が貴重品でしたので、木簡は多くの物事を記録するため何枚も綴じ合わせる必要がありました。それが最初の「檜扇(ひおうぎ)」です。京都東寺の千手観音像の腕の中から発見された、元慶元年(877年)と記された檜扇(ひおうぎ)が、現存している最古の扇子といわれています。すなわち、扇子とは、もともと記録用の書類だったわけですね。

 鎌倉時代に入ると、日本の扇子は中国に渡り、室町時代に唐扇子として日本に逆輸入されています。それまでの日本の扇子は、片面だけに扇紙を貼ったものでしたが、唐扇子では両面に扇紙が貼ってあり、唐扇子にならい両面貼りの扇子が日本でも作られ、その後、扇子の主流のスタイルとなりました。

 この頃になると、武将が戦場で軍を指揮する鉄扇(鉄扇子)が使われ、護身用としても用いられるようになります。また、庶民の使用が許可され、武家文化などの影響で、能や演劇、茶道にも取り入れられ、広く扇子が用いられる時代を迎えます。

 室町時代には、明との貿易で中国に輸出され、ヨーロッパにも渡り、文化的な面において大きく影響を与えます。フランス・ルイ王家の貴婦人が使用した鳥の羽根や、シルクのエバンタイユ(西洋扇子)、フラメンコで使われるスペインのスペイン扇も日本の扇子をルーツとしています。意外に扇子はグローバルな背景も持っています。

 江戸時代に入ると、扇子づくりは冠や烏帽子づくりとともに「京の三職」として、官の保護を受けるほどの重要な産業となってきます。この頃になると扇子は、広く庶民の日常生活に普及し、必需品となってきます。

 京扇子はその後も発展を続け、江戸後期から大正時代中期まで輸出が盛んでしたが、昭和に入るにつれ国内市場に限られるようになりました。現在では、国内の扇子の生産高の約9割を京都で作られる京扇子が占めています。

 

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堀籠 しゅん

堀籠 しゅん

フリーライター

流行通信勤務後、フリーランスとなりマガジンハウス、集英社、講談社などで編集・執筆を担当。航空会社情報誌、企業PR誌で国内外を回る。『シングルモルトファン』、『シングルモルトファン2』(共にコスミック出版)の編集・執筆を行う。近著は『宮城の法則』(リンダパブリッシャーズ)。メンズファッション、グルメ、ホビー、トラベルが得意ジャンルで、書籍やWEBにて活動中。

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