古典に学ぶ、組織の対人関係(第1回)

韓非子に学ぶ、「情」に頼らない部下への対応

2015.07.09 Thu連載バックナンバー

 昔から日本人は「情」を大切にします。情の深い人は、周囲の評判も良いし、部下からも慕われることも多いです。

 しかし、会社組織で情を用いることには問題点もあります。まず、情というものは目に見えるものではありません。さらに、自分の置かれた立場やその日の感情にも判断が左右されるでしょう。つまり情というものは安定しません。このような要素を持つ情に頼って部下に対応することは、部下にとっては「上司の感情」という、目に見えず、安定しない、判断基準もわからない方法での対応に納得できるでしょうか?同じミスをして前回は叱られて、今回は叱られない。同じ事をしてAさんは怒られて、Bさんは怒られない。上司が情に頼ると、このような不平等な対応が日常茶飯事に出てくるでしょう。

 中国の古典「韓非子(かんぴし)」は、情に頼らない、平等、公平の重要性を教えてくれます。韓非子の教えを経営に用いることは、冷酷で非情な組織運営と思われる事が多いです。上司として明日から用いることができる、韓非子の3つの教えを学びましょう。

 

余計な気配りは越権行為?設定した目標を上回ったら罰せられる?

 韓非子では、「余計な気配り」は越権行為と考えられ、次のように説いています。

「王がうたた寝をしており、冠(かんむり)係が衣類係でもないのに服をかけました。目が覚めた王がその経緯を聞いたところ、衣類係を罰しました。それだけではなく、冠係も罰しました。その理由は職務範囲を超えた行為、越権行為という理由でした。(抜粋)」

 確かに、冠係の事だけを考えると気配りの行動で罰せられるのは気の毒と言えます。

 会社でいえば、部下がやる気を出して他の部署を手伝ったと聞くと、上司としての鼻が高くなり皆の前で褒めたくなる気持ちもわかりますし、何の問題もないように思えます。

 しかし、会社組織という枠組みで考えると、自分の部署では担当しない他の部署の役割を行なっており、このような行動が増えると、各部署が正常に機能しなくなる可能性があります。

 特に、上司からの評価が上がるとなれば、多くの人間がこのような事を行い、組織の存在意義がなくなるでしょう。そうならない為にも、このような越権行為を認めずに、自分の持ち場のみを責任を持って担当すべきという規則を守るべきです。部下に越権行為を行わせないためにも、明日から「これからは自分の担当する職務についてのみ集中してください。担当外の職務を行うと厳重注意等を行います。」と伝えることにより、部下も自分の職務に集中するでしょう。

 次に、設定する目標について、韓非子では「刑名参同」という言葉を用い次のように説いています。… 続きを読む

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荒尾 つよき

荒尾 つよき

フリーライター

起業&経営資料作成所(http://www.asian-consultants.com/)を運営。起業や経営に必要な会計、営業、経営課題解決に関わる内容を執筆している。

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