温故知新 時代を作ったビジネス書から学ぶ(第14回)

考えて金持ちになる―アメリカを発展させた成功哲学

2015.07.03 Fri連載バックナンバー

 「願望実現のための燃えるような意欲を持とう」、「あなたの潜在意識にあなたの願望を何度も伝えよう」、「一時的な失敗にあきらめてはいけない」といった、熱い成功哲学を語る「おやじ」は、あなたのまわりに生息しているでしょうか。日本にも昭和の高度成長期には分布がみられましたが、現代日本では、ほぼ絶滅しました。このような「おやじ」と出会うには、ビジネス書を開くのが一番です。

 この古典的な成功哲学のベストセラーは、ナポレオン・ヒル『Think and Grow Rich[考えよう、そして金持ちになる]』です。原著は1937年、その後、再編集・改版が繰り返されています。この成功哲学は、アメリカン・ドリームの事例を提供し、アメリカ20世紀の経済発展を拡大させました。

 日本語訳としては『富はあたまで作れ』『思考は現実化する』など多種類あります。今回は、1977年日本語訳『成功哲学<行動マニュアル付き>』[以下成功哲学](発心社・産能大学出版部)を参照して、1937年の原著に記載されている哲学を紹介します。

 

成功のために重要なのは、願望(目標、信念)・達成期限・計画

 ナポレオン・ヒルは、1883年アメリカのバージニア州で生まれました。鉄鋼王アンドリュー・カーネギーとの出合いをきっかけに、発明王のエジソンとその共同事業者のバーンズ、自動車王国を築いたフォードなどの成功を研究しました。新聞記者や大統領補佐官なども勤めながら、講演・執筆・雑誌発行などに活躍しました。

「アメリカ人以外の人間には真剣に受け止めにくく理解すら難しいものだが、ナポレオン・ヒルの成功哲学は、アメリカ人の道徳体系を実によく表している。アメリカ人にとって富の創造とは、推理力と、創造力と、粘り強さを合同させた精神の産物なのだ」(T・バトラーボードン『世界の成功哲学50の名著』(2005.8)p.188)。

 ナポレオン・ヒルの成功哲学で最も重要なのは「願望(desire)」を持ち、その実現を信じ切ることです。彼は、金持ちになりたいという願望を達成するための「6つのステップ」を提案しています(『成功哲学』p.35,原著pp.24-25)。

 これを現代的に要約して紹介しましょう。

1.手に入れたいお金の金額を明確にする。
2.その金額を手に入れるために、… 続きを読む

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鈴木 健治

鈴木 健治

特許事務所ケイバリュエーション 所長 弁理士

経済産業省産構審小委員会の臨時委員、(財)知財研 知的財産の適切な活用のあり方に関する委員会委員などを歴任。著書に「知的財産権と信託」『信託法コンメンタール』(ぎょうせい)、論文に「知材重視経営を支えるツール群に関する一考察(月刊パテント)」などがある。取引先の経営者・担当者にビジネス書の書評をお届けしている。公式サイト:http://kval.jp/

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