囲碁を仕事に活かす

実利に厚みに大局観、ビジネスに生かせる囲碁の教え

2015.06.02 Tue連載バックナンバー

 4,000年もの歴史があるとされ、2000年代前半には漫画「ヒカルの碁」効果でブームが起きた囲碁。ここ数年、競技人口は減少の一途をたどっているものの、囲碁の考え方は、いざというとき、仕事や人生に生かせるのだ。囲碁から学べることと、その具体例について紹介したい。

 

基本的なルールはいたってシンプル

 まずは囲碁の歴史について確認しておこう。日本棋院のホームページによると、囲碁が生まれたとされているのは、約4,000年前の中国。その後、紀元前770~前221年ごろには、戦略、政治、人生のシミュレーションゲームとして、広まっていったという。日本に伝わった時期についてははっきりしないものの、西暦701年の大宝律令に囲碁についての記述があることから、日本では1,300年以上の歴史があると考えられている。

 ところで、初対面の人に筆者の趣味が囲碁であることを伝えると、「ルールが難しいんでしょ」とよく質問される。しかし、基本的なルールは、(1)黒石と白石を線と線が交差している点に交互に置く、(2)相手石の四方を塞げばその石が取れる、(3)最終的に陣地が広い方が勝利—といたってシンプルだ。

 このように基本的なルールは簡単だが、陣地を囲うまでのプロセスは確かに難しい。囲碁は、ただやみくもに陣地を拡大させれば勝てるとは限らないのだ。しかしながら、たとえば通常の19路盤よりも小さい9路盤で打てるようになるだけなら、そう時間はかからない。よって、囲碁の「敷居」は低いともいえよう。

 

「実利」を取るか「厚み」を取るか

 前項で触れた、「囲碁が戦略、政治、人生のシミュレーションゲームとして広まっていった」という部分を換言すると、「囲碁は仕事や人生を擬似体験できる」となる。つまり、囲碁には社会で生き抜くためのヒントが詰まっているのだ。現代でも、たとえば政治界では小沢一郎、与謝野馨の両氏ら数多くの人物が愛好していることからも、時代を超えた普遍性が見て取れる。

 囲碁は序盤の「布石」が勝敗を左右する。布石とは、これからどのように展開していくのかの、いわば土台作りだ。どのような布石を打つかは人それぞれで、序盤から陣地をどんどん稼いで「実利」を取るタイプと、戦いを今後有利に展開していくために石を強くしておく「厚み」を取るタイプに大きく分類できる。

 「実利」を得ておくと、序盤から確定した陣地が数字として目に見えるので、計算ができるという意味である程度の安心感があり、堅実な戦略であると言える。

 一方「厚み」を取ると、… 続きを読む

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田中 森士

田中 森士

戦略PRコンサルタント・熊本市社会教育委員

熊本大学大学院で消費者行動を研究した後、県立高校の常勤講師(地理・歴史)、全国紙記者を経て、現職。地元・熊本に軸足を置きつつ、全国で活動している。企業PRやまちおこしのプロジェクトに携わるかたわら、「伝え方」をテーマにした高校での講演や、これからのPRを考えるWEBマガジン「PR NEXT」の運営もこなす。http://pr-next.com/

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