あなたの企業も狙われている?M&Aの功罪とは(第7回)

敵対的買収をどう防ぐ? M&Aの防御方法を考える

2016.01.17 Sun連載バックナンバー

 前回は、事業承継のためのM&A活用法について紹介しましたが、今回は、いよいよ最終回です。敵対的買収をしかけられた場合にどのように防衛すればよいのかについて解説していきます。

 

敵対的M&Aとは

 M&Aには、当事者同士が合意して行う友好的M&Aと当事者の合意に基づかないで一方的にM&Aがしかけられる敵対的M&Aとがあります。敵対的M&Aは、合意に基づかないで買収をするので、基本的には株式取得によって行われます。株式取得の方法は、市場での購入のほか、市場外での相対取引、公開買付(TOB)があります。ただ、大量の相対取引は禁止されており、市場での買い占めも価格高騰を招くので、基本的に公開買付(TOB)によります。

 株式取得以外の方法としては、株主から委任状を取得して実質的経営権を取得するという方法があります。たとえば、「今の配当は低すぎるので、我々に委任してもらえれば高配当を約束する」と訴えて、委任状を取得するなどです。

 

買収防衛策は必要か?

 M&Aの対象として選ばれるということは、その企業の価値から見て市場で付いている株価は割安だと判断されているからです。そして、上場株式については、株式は自由に売買されるものなので、買収することは自由であり、何ら問題はありません。そのため、買収防衛策を講じることは、単に現在の経営者を守るだけのものであり、すべきものではないという考え方もあります。会社は経営者のものではなく株主のものであり、株主が経営者を交替するなどして経営権を行使することは自由でなければならないからです。

 ただ一方で、第2回の「M&Aの前に確認しておきたい6つのリスクとは?」で説明したとおり、グリーンメーラーや焦土化経営など、不当な目的でのM&Aがあるのも事実です。このような不当な目的のM&Aに対しては、買収防衛策を講じておくことが有効であることは確かです。

 敵対的M&Aが問題になる中で、M&Aを阻止するために行った新株予約権の交付が争われた事件で、裁判所は、「株主構成を変更すること自体を主要な目的として新株等を発行することは許されない」としています。これを「主要目的ルール」といいます。つまり、経営者が経営権を守るために、株式を発行するようなことは認められないということです。もっとも、株主全体の利益の保護という観点から、新株予約権の発行を正当化する特段の事情がある場合には、例外的に不公正発行にはあたらないとしています(東京高決平成17年3月23日「ニッポン放送事件」)。

 したがって、買収防衛策が適法として認められるためには、… 続きを読む

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伊達 諒

伊達 諒

エコノミスト、コンサルタント

日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務などを経て、現在に至る。金融、経済、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。MBA、CFP、1級FP技能士の資格を保有。

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