あなたの企業も狙われている?M&Aの功罪とは(第6回)

事業承継のためのM&A活用法

2016.01.09 Sat連載バックナンバー

 前回は、M&Aをする際の企業価値の評価方法について紹介しましたが、今回は、中小企業などで深刻化している事業承継問題について、M&Aの活用法について解説していきます。

 

売り手の視点で見るM&A

 M&Aというと、事業を拡大していくための手段であったり、異業種に参入するための手段であるなど、買い手側の視点で見られることが多いのですが、会社を売る側として考えることも重要です。

 アメリカでは、ベンチャー企業を立ち上げて、一定の成果を達成したら、大手の企業に買収してもらい、莫大な利益を創業者が受け取るということを目標にすることもあります。そこで得た利益を元手にそれら起業家は新たなベンチャー企業を立ち上げるわけです。新しいことに挑戦して新たな価値を生み出すことに秀でる人は、どんどんベンチャー企業を作ればいいし、リスクを取らずに成果を得たいという大企業はそれらベンチャー企業を買収すればよいという割り切った考え方が定着しています。

 このようなドライな考え方は、日本の企業風土には合わないかもしれませんが、株式投資というのは利益を出すことが目的なので、企業を売却することで株主が利益を得られることは良いことであって否定される理由はありません。事業承継についても創業者が一定の利益を受け取りつつ、従業員の雇用を守るという意義もあるので、企業を売却することについて後ろ向きに捉える必要はありません。

 

中小企業で深刻化する事業承継問題

 先ほどはベンチャー企業の例を挙げましたが、日本では中小企業の事業承継問題が深刻化しています。2014年版中小企業白書によると、「大企業の会社役員も含め60歳から64歳が全体に占める割合が最も高い年齢層になっており、70歳以上の年齢層が占める割合も過去最高になっている」と指摘されています。また、同白書の中小企業に対するアンケート調査によると、事業を引き継ぐ準備ができていない経営者は、60歳代で約6割、… 続きを読む

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伊達 諒

伊達 諒

エコノミスト、コンサルタント

日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務などを経て、現在に至る。金融、経済、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。MBA、CFP、1級FP技能士の資格を保有。

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