あなたの企業も狙われている?M&Aの功罪とは(第5回)

あなたの会社の値段はいくら?M&Aでの企業評価法

2015.12.20 Sun連載バックナンバー

 前回は、M&A実行プロセスの全体像を見てきました。今回は、M&Aの対象会社をいくらと評価するのか、企業価値の評価方法について解説していきます。

 

企業価値とは何か

 「あなたの会社の値段はいくらですか?」と聞かれた場合に「○○円です」とすぐに答えられるでしょうか。

 企業価値を評価するということは非常に難しいものなのです。ただ、価値というからには金銭に見積もれるものでなければならないので、基本的には財務諸表をベースに算定していくことになります。

 したがって、たとえば、優秀な社員がいるからといって企業価値が大きく変わるということは基本的にありません。もっとも、芸能事務所などであれば売れっ子タレントがいる場合には収益性が高くなるので、財務諸表の数字にも影響を与え、結果的に企業価値に影響を与えることはあるかもしれません。

 企業価値の評価方法は、大きく分けて3つに分類されます。それが、(1)アセットアプローチ、(2)マーケットアプローチ、(3)インカムアプローチというものです。今回はこの3つを紹介していきます。

 

【1】資産の合計が企業の価値「アセットアプローチ」

 アセットアプローチ(コストアプローチ)とは、資産の価値または購入した価格の合計額をもって企業価値と捉える考え方です。個人で考えると、「あの人は1億円の家に住んでいるからお金持ちだ」という場合の評価方法と同じです。企業が持っている資産に着目してその合計額が企業の価値だと考えるわけです。非常にわかりやすいものなので、受け入れやすいという特徴があります。

 具体的には、会計帳簿の純資産額を企業価値としますが、簿価のままで評価するものを「簿価純資産価額方式」、会計帳簿の額を時価に計算し直して純資産額を計算する「時価純資産価額方式」があります。時価の算定の仕方についても、再調達価格(新たに購入する場合の価格)を前提とする方法と清算価格(処分する場合の価格)を前提とする方法があります。少なくとも企業を清算した場合には残る価値という意味で、清算時価による純資産価額は、企業価値の最低限を画しているといえます。

 ただ、現在ある資産というのは、過去の行為によってもたらされた結果にすぎず、これから生み出される利益を全く反映していません。また、目に見えない技術力やブランド価値のようなものは資産に反映することは難しいので、企業を過小評価してしまうおそれがあります。

 

【2】株価を元に企業を価値付け「マーケットアプローチ」

 マーケットアプローチは、市場での取引価格に着目した評価の方法です。物の値段はどのようにして決まるかという視点から考えるアプローチです。経済学でいうと… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

伊達 諒

伊達 諒

エコノミスト、コンサルタント

日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務などを経て、現在に至る。金融、経済、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。MBA、CFP、1級FP技能士の資格を保有。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter