2014年の角界を振り返る

前人未到の境地を目指す横綱白鵬の思い

2015.01.08 Thu連載バックナンバー

 横綱白鵬が大相撲九州場所で32度目の優勝を果たし、「昭和の大横綱」大鵬の最多優勝記録に肩を並べた。優勝インタビューでは「14年前は62キロの小さい少年がここまで来るとは、誰も想像しなかったと思う」と語り、「角界の父に恩返しができたかな」と感慨深げだった。

 「角界の父」とは、他ならぬ元横綱大鵬(たいほう)の納谷幸喜氏(2013年1月19日永眠)のことだ。しこ名に「鵬」の字をもらい、夫人は納谷さん宅に通って横綱の支え方を学んだ。

 納谷氏が亡くなる2日前にも見舞い、「優勝32回に1つでも2つでも近づけるよう精進します」と話しかけ、「しっかりやれよ」と言われたのだという。

 

相撲が終わるとき、この国も終わる

 白鵬は「角界の父」への謝辞とともに「天皇陛下に感謝したいと思います」とも語った。明治4年、断髪令が布告された際に「明治天皇が長く続いたこの伝統文化を守ってくれたと聞いています」と話し、このことについての感謝の言葉だった。

 それだけではあるまい。白鵬の著書「相撲よ!」(角川書店)によれば、幼少時のモンゴルの家には昭和天皇の写真が飾られていた。祖母の弟が日本で大使をしていた縁があってのようだ。

 野球賭博に揺れた2010年の名古屋場所で、白鵬は全勝優勝を遂げながら、賜杯のない表彰式に涙した。その気持ちをくんだ天皇陛下は、侍従を通じてねぎらいの言葉を贈られた。

 そうした諸々の事情が去来しての言葉だったのだろう。白鵬はかつて、「相撲が終わるとき、この国も終わるという強い思いがある」と話したことがある。これほどの思いで土俵に上がっている力士が他にいるか。白鵬の強さの一端でもある。… 続きを読む

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産経デジタル

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