変わる農業の現場

異業種が次々参入、「クールな農業」の現在と未来

2015.01.22 Thu連載バックナンバー

 クボタやヤンマーなど農機メーカーが、自動で農作業するロボットやITと連携した「スマート農機」の開発に相次いで乗り出している。農産品の関税引き下げを含む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の妥結をにらみ、政府は農地の大規模化を推進し、国内農業の競争力を強化しようとしている。農機メーカーも生産性を向上させる商品開発で、政府が掲げる「攻めの農業」と歩調を合わせる。

 

進化する農機、「攻めの農業」へ

 クボタは2014年から、衛星利用測位システム(GPS)やカメラを搭載し、無人走行で農作業するトラクターの開発に乗り出した。農作業の効率化を図るのが狙いで、平成30年度までに実用化を目指している。

 6月には農業支援クラウドサービス「クボタスマートアグリシステム」の提供も開始した。農機に取り付けたセンサーから稲の生育データを自動収集できるほか、スマートフォンを使って作業管理できるという。

 ヤンマーは無人ヘリコプターで農作物のデータを収集・蓄積するサービスを始めている。すでに無人ヘリで薬剤散布や肥料や種まきができるサービスを提供してきたが、農作物の分布状況や生育具合の空撮収集も始めた。今後は生産の効率化や農機の運行支援で蓄積データを活用する。

 井関農機が開発しているのは「スマート田植え機」。収穫時に稲が倒れていると、刈り取りの作業時間が大幅に増える。同社では土の深さなどを車輪に取り付けたセンサーで瞬時に判断し、均一に稲や肥料をまける田植え機の開発を進めている。

 大手農機メーカーがスマート農機の開発に力を入れるのは、国内農業の構造変化を想定しているからだ。国内では農業従事者の高齢化が進み、担い手が不足しており、これからは農作業の省人化や省力化の需要拡大が見込まれる。

 加えて、政府の農業政策の転換も大きな影響を与えている。政府は6月に閣議決定した新成長戦略で、「32年に農林水産物・食品の輸出額1兆円を達成し、42年に輸出額5兆円の実現を目指す」と明記。このため、農地の大規模化を進め、海外からの輸入品に対抗できる農作物を作る方針を掲げている。

 こうした政府方針は、農機メーカーにとっても大きな追い風となっている。国内の農機市場は普及が一巡し、更新需要が中心。農家の数が減り、台数ベースでも減少傾向にある。その中でスマート農機は、メーカーにとっても新たな市場創出の機会となっており、今後、開発にも一段と力が入りそうだ。

 

電機大手が相次ぎスマートアグリ参入… 続きを読む

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産経デジタル

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