企業の社会的責任(CSR)を考える(第3回)

導入するだけではダメ、賢いCSRの導入法

2015.03.16 Mon連載バックナンバー

 CSRを導入することで、企業価値や株価が上がる理由について前回は説明しましたが、今回は実際にCSRを導入しようとする場合にどのような視点でおこなうべきなのか、あるいはどのような点に注意すべきなのかについて解説していきます。

 

CSRを導入する目的(視点)の明確化

 CSRは、企業が社会から評価されるためになすべき方法論なので、その内容は、女性活用や障がい者雇用といった人材関係、事務用品のグリーン購入状況や環境担当部署の設置などの環境関連、CSR担当部署の設置、内部監査部門の設置などのガバナンス関係、苦情処理部門の設置、NPO法人との連携などの社会関係、など多岐にわたります。したがって、一気に全てをやることは負担が大きく、非常に難しいのが現実です。

 そのため、何を第一に目指すかを明確にすることが重要になります。まずは社会の信頼を得るために不正や違法なことはしないということを第1の目標とするならば、リスクマネジメントを中心とした体制作りに視点を置いて、CSRを導入していくことになります。

 逆に、法令遵守や内部管理体制は十分にできているという場合には、積極的に企業価値を高めるための活動に視点を置いて、倫理実践や社会貢献をより積極的に行い、広報面の工夫をするなどのCSRを実践していくことになります。

 

CSRの実践方法

 視点(目的)が明確になったら、次は実践のステージに入っていきます。必ず作成しなければならない訳ではありませんが、通常は、「CSR基本方針」など方向性を示す規定を策定して、それに従い実践に移っていくことになります。また、可能であれば、CSR担当部署とCSR担当役員を設置することが望まれます。CSRの専門部署の設置が難しい場合には、併任で構わないので、担当者を配置し、責任の所在を明らかにしておくことが実効性を高めるポイントになります。

 

(1)リスクマネジメントに視点を置く場合

 リスクマネジメントに視点を置く場合には、関連法令の洗い出しと法令遵守が徹底されているかを中心に調べることからはじめます。特に、個人情報保護法については、多くの企業が対象になっていると思われるので、情報管理が十分か改めて確認することが重要です。さらに、不正が行われないために、人的チェック体制や規定やマニュアルの整備など内部管理体制が十分かどうかを調査します。

 この時、無理に倫理実践や社会貢献をする必要はありません。ただ、法令上要求されていなくても、苦情相談窓口の設置やセクハラ・パワハラ対応など、社会的に対応が求められているものについては、リスクマネジメントの観点からしっかりと対応する必要があります。また、東日本大震災を教訓に企業には大災害への対応(従業員の安全確保やサービス・製品の供給体制の確保)も求められているので、事業継続計画(BCP/Business continuity planning)の策定も必要になります。

 

(2)企業価値向上に視点を置く場合

 企業価値向上に視点を置く場合には、… 続きを読む

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伊達 諒

伊達 諒

エコノミスト、コンサルタント

日本銀行で金融機関の経営分析、厚生労働省で政策の調査業務などを経て、現在に至る。金融、経済、経営、会計、税、行政と幅広い分野での執筆活動をしている。MBA、CFP、1級FP技能士の資格を保有。

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