歴史書店 三冊堂(第6回)

『坂の上の雲』はなぜ経営者に支持されるのか

2014.09.20 Sat連載バックナンバー

 歴史小説に少しでも興味を持っている人ならば、司馬遼太郎の名をご存じないことはまずないでしょう(ちなみに、司馬遼太郎の「遼」はしんにょうの点がふたつあるのが正しいのですが、ウェブでは文字化けしてしまうので「遼」で代用しています。ご了承くださいませ)。

 “司馬史観”なんて言葉が誕生したほど、日本における歴史解釈に革命を起こした大作家。司馬遼太郎が『竜馬がゆく』を書くまでは、坂本龍馬も大して人気はなかったんです。司馬作品の影響力がよくわかりますよね。

 この『竜馬がゆく』はもちろん現在でも人気の高い作品ですが、じつはもっと人気の作品があるんです。

 それは、『坂の上の雲』。日露戦争の時代が舞台で、主人公は松山出身の秋山好古秋山真之兄弟と、正岡子規の三人です。明治維新を達成して間もない近代日本と近代日本人が、西欧列強にも見劣りしない近代国家、そして近代人を目指して疾走する姿がスケール感たっぷりに描かれます。

 2009年から2011年の年末に、NHKの大河枠で放送されたドラマでご存じの方も多いかもしれませんね。子規役の香川照之さんは、病に侵されて苦しむ晩年の姿を再現するために頬がこけるまで体重を落とし、鬼気迫る最期を演じてくれました。死後に軍神と崇められた海軍軍人・広瀬武夫は、藤本隆宏さんの男らしさあふれる演技が女性にうけて、人気が急上昇しました。

 この『坂の上の雲』、特にビジネスパーソンから熱い支持を受けているのが特徴です。ドラマが開始されたころ、雑誌『プレジデント』に掲載された「日本の経営者が選ぶ作品人気ランキング」では、本作が堂々の第1位でした。第2位の『竜馬がゆく』に、倍以上の票差をつけた圧勝だったのです。

 さて、その支持率の秘密はなんなのでしょう?… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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