歴史書店 三冊堂(第4回)

主要人物は負け犬ばかり、困ったちゃんの「三国志」

2014.08.30 Sat連載バックナンバー

 今、三国志がブーム!

 ……と言ってはみたももの、このフレーズはしょっちゅう言われているので、正直「またですか」という気分になってしまう方もいるかもしれません。むしろ、1800年の時を越え、いまだに多くのファンがついている三国志は、ド定番というべきでしょう。ブームなどとは無縁の、鉄板コンテンツではないでしょうか。

 そんな三国志ですが、さて、どんなお話だったでしょうか? 模範回答としては「後漢末の中国で、聖人君子の劉備玄徳が、豪傑の義兄弟・関羽雲長と張飛翼徳、そして神算鬼謀にして忠節厚い軍師・諸葛亮孔明たちとともに正義の蜀漢を築き、乱世の姦雄・曹操孟徳や江東の覇者・孫権仲謀たちと覇を争う」といったところでしょうか。

 完全な正解とはいえないかもしれませんが、そういう雰囲気を出すように努力して書かれているのは確かです。蜀漢が成立するのは曹操の死後ですが。

 一般的に『三国志』というと『三国志演義』を思い浮かべる方が多いかと思われますが、その原点となる『正史三国志』を晋の時代に著した陳寿は、大変な孔明シンパでした。

 晋は三国滅亡のすぐあとの王朝ですから、陳寿にとって孔明は伝説の人物ではなく、現実の存在です。後述する書籍『ろくでなし三国志』でも言われているように、まさに「孔明チルドレン」なのです。

 三国志は大元が孔明チルドレンに書かれているので、どんなに蜀が弱小で貧乏で迷走ばかりしていたとしても、「孔明と蜀が正義!」という論調になって当然というわけです。

 だいたい、主人公に収まっている劉備からしてうさんくさいのです。姓がたまたま「劉」だからといって「自分は漢王室の血を引いてる! 皇帝の叔父さん!」なんて自称する人です(中国の姓は日本よりずっと少ないので、劉さんはたくさんいます)。

 そうやってビッグマウスを使うわりには戦に弱く、負けては曹操だの袁紹本初だの劉表景升だの厄介になるという、まさに節操なしの根無し草です。聖人君子というよりも、「極道の親分」と呼ぶほうがしっくりくるかもしれません。

 そんな狂犬のような劉備を主とした孔明ですが、この人はもっとうさんくさいです。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

土方歳三、北へ――京都以降の新選組をたどる
かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter