歴史書店 三冊堂(第3回)

傲岸不遜? 悲劇の忠臣? 石田三成の真実

2014.08.06 Wed連載バックナンバー

 今や戦国武将の中でも人気者となっている石田三成。ドラマでもゲームでも、イケメンに描かれることが多くなりました。大河ドラマ『天地人』で小栗旬さんが演じたときには話題になったものです。現在放送中の『軍師官兵衛』でも、イケメン俳優の田中圭さんが演じています。

 その居城・佐和山城は険しい山城で、ひと昔前まで城マニアの中でも敬遠されがちだったものですが、最近は女性ファンご一行様であふれかえっているとか。ただ、道に迷って下山できなくなった方もいらっしゃるので、城攻めは計画的に。

 それにしてもなぜ、敗軍の将である石田三成が美化されているのか? そのあたりが時代の価値観の変容なのかもしれません。今はもう、24時間働けますかなんて歌いながらバリバリ勝ち組を目指す時代ではありません。結果よりも過程、さらにいえばそこにどんな思いが込められているのかに人々は興味を示す時代なのです。

 関ヶ原の戦いに勝って戦国最後の勝ち組になった徳川家康より、豊臣家への純粋な忠誠心だけで戦い、散っていった三成のほうが美しいってみんな思っちゃうんですよ。それがいいか悪いかはまた別の話としまして。

 でも家康も、自分がつくる天下こそがこの国のためになるって信じていたはずですからね。いかにもお坊ちゃんな豊臣秀頼に未来は託せないと思っても、不思議はないでしょう。結果論にはなりますが、戦いばかりの時代を終わらせて約260年続く天下泰平の基礎をつくったのは家康なのだから、三成ではなく家康が天下を取ったのは日本のためになったんじゃないでしょうか。

 大体、三成という男、豊臣家への忠誠心なら誰にも負けない自負があるくらいだったのに、同じように秀吉のもとで育って、豊臣家への忠誠心のかたまりだった加藤清正福島正則とは仲が悪かったんですよね。正則なんかは関ヶ原の戦いで家康の東軍に味方して、先陣を切っているくらいですし。

 普通に考えれば、豊臣家の天下を家康が牛耳ろうとしていたら、協力して追いだせばいいはずですよね。それがなんでこんなことになっているのかというと、三成は大変な完璧主義の潔癖症で、きっちりできない人には文句ばっかり言う厄介な人なんです。… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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