歴史書店 三冊堂(第13回)

幕末の異端児は龍馬のみにあらず!勝小吉・海舟父子

2014.12.05 Fri連載バックナンバー

 今も昔も大人気の幕末の志士といえば坂本龍馬。NHK大河ドラマ『龍馬伝』で、日本を代表するイケメンのひとりである福山雅治さんが演じてからは、さらに人気が出た印象です。

 龍馬といえば、昔ながらのファンには武田鉄矢さんのイメージがあるかもしれません。その武田さんは龍馬伝で、師匠の勝海舟役で登場しました。龍馬のイメージの武田さんが、 “福山龍馬”の前に海舟として出てきて一瞬混乱しましたが、江戸っ子のべらんめえ口調を駆使する“武田海舟”は生き生きとしていて、気がつけば引き込まれていました。

 武田さんが演じた江戸っ子らしさ満点の海舟は、史実の海舟をうまくなぞったものになっています。海舟の江戸っ子ぶりは幼少期に形成されたもの。父親・勝小吉の影響がとても大きかったといいます。

 海舟好きの方には有名な話になりますが、海舟は賄賂を差し出してきた幕府の人間に「勝の名を汚すな!」と叱りつけました。この出来事を耳にした当時の老中である阿部正弘が、海舟を登用しました。

 生涯賄賂を嫌い続け、けっして受け取らなかった海舟。じつはここにも、父親である勝小吉の影響があったのです。

 勝海舟は、1823(文政6)年に勝小吉の長男として生をうけました。勝家は普請わずか40俵の旗本で、常に困窮を極めていましたが、小吉は賄賂金、さらにはお礼の品でも受け取らず、渡そうとする者には「俺はそんなつもりで親切したんじゃねぇ!」ときつく叱りつけることもあったそうです。

 小吉を幼いころから見ていた海舟は、父親を尊敬し、自分自身も賄賂を受け取ることは絶対にしないと誓ったのでしょう。

 江戸時代の役人というものは、賄賂なしでは出世できない世界にいました。当時の人たちにとって賄賂は当たり前のことであり、悪いことだと感じている人はほとんどいなかったのです。

 小吉自身、出世のチャンスは何度かありました。しかし、… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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