歴史書店 三冊堂(第1回)

天下人は茶室から生まれた!政治と茶の湯の深い関係

2014.07.13 Sun連載バックナンバー

 今回から始まった「歴史書店 三冊堂」は、歴史のキーワードについて深く知り、楽しむ鍵となる3冊の本を紹介する連載です。初回は、戦国時代に流行した「茶の湯」を知る本を紹介します。

 茶の湯というと、和気あいあいと膝をつきあわせてお茶をたしなむ“雅やかなご趣味”と感じる方が多いかもしれません。確かに現代ではそうでしょう。しかし、戦国時代の茶の湯はそんな悠長なものではありませんでした。なにしろ、茶の湯を制する者が天下を制するといっても過言ではありませんでしたから。

 なぜこんな和やかな遊びが天下を制するために必要なのか? といいますと、そもそもは織田信長が「茶の湯御政道」を始めたことに端を発します。

 これは名物茶器を政治利用した文化政策で、メセナ(文化・芸術支援)活動に積極的だった信長らしいやり方。自分の茶器を披露して権勢を見せつける一方、手柄を挙げた家臣には名物茶器を与えたり、自分の許可なしに茶会を開くことを禁じたりと、なにかと政治に茶の湯をからめていきました。こうすることで、茶の湯は単にお茶を楽しむ「嗜み」から、大名としてのステータスへとランクアップしたんですね。

 そして、国やら城やらをふたつもみっつも買えるとんでもない茶器も登場するのですが……そこが信長の計算高さでしょう。手の上に乗る茶入れだの茶碗だのが、国いくつかと同じ価値なのですから。狭くて山の多い日本の土地なんてすぐに限りがきます。手柄を挙げてもやせた土地しかもらえなかったら、家臣もやる気をなくすでしょう。茶の湯御政道は、家臣のモチベーションの維持にも配慮されていたのです。

 そして、信長の次に立った豊臣秀吉もまた、茶の湯の社会的地位を引き継いで利用しました。特に、信長が採用した茶頭の千利休をさらに重用して、茶会を… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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