日本の転換期に訪れた「健康経営」の波!(第2回)

「健康経営」がひらく日本企業の未来

2017.05.24 Wed連載バックナンバー

 “コスト”から“投資”へ。労働人口が減少し、人材の確保や活用が日本企業共通の課題となる今、従業員の健康管理に対する意識も変わりつつあります。そうした中で注目を集めているのが、従業員の健康管理をコストではなく投資として捉え、経営戦略として位置付ける「健康経営」です。

 健康経営は、生産性や企業イメージの向上、さらには医療費の適正化につながると期待されています。経済産業省で健康経営の普及を牽引する、江崎禎英(えさき よしひで)・ヘルスケア産業課長に、その意義と展望を伺いました。

 

次代の日本企業を担う「健康経営」という考え方

――「健康経営」とは、どのような経営手法なのでしょうか。

 「健康経営」とは、従業員の健康管理を、経営的視点から戦略的に推進するというものです。一般に、従業員の健康管理や健康づくりへの取り組みは、従業員サービスの一環である「コスト」として捉えられがちです。しかし、健康経営では、従業員の健康管理を「投資」と考え、1人ひとりの生産性や創造性を高め、業績や企業価値の向上につなげることを目指しています。

――国民のクオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life、QOL)の向上や、医療費の適正化にも役立つ取り組みでもあると聞いています。

 その通りです。人が健康に不安を持たずに過ごしている期間を「健康寿命」と言います。昔は健康でなくなると寿命も終わるため、健康寿命と平均寿命はほぼ同じでした。近年、経済が豊かになり医療技術が発達したことで、健康寿命と平均寿命の間にギャップが生じるようになりました。

 このギャップは男性で約9年、女性では13年近くになっています。この期間は本人にとってつらい時期であるとともに、40兆円を超える国民医療費の大半がこの時期に使われているのです。したがって、健康寿命を延ばし平均寿命とのギャップを縮めることは、個人にとっても社会にとっても意義があると考えられます。

 しかし、ほとんどの人は、健康に不安を感じて初めてその大切さに気付くと言われていますが、既に手遅れになっている場合が少なくありません。健康寿命を延ばすためには、元気で働いている時期から健康管理に取り組むことが肝要です。

――そうは言われても、一企業としてはコストを気にして、なかなか健康経営に前向きになれない部分もあるのではないでしょうか。

 確かにそういう面はあります。ただ、日本は健康経営が受け入れられる“時代”に入ったのではないかと感じています。現在、多くの企業で「働き方改革」が進められています。こうした動きは、労働人口が減り、経済が成長期から成熟期へ向かう中、企業が新たなビジネスモデルを模索する一例だと考えています。健康経営は、間違いなくその一助になるはずです。

 

就職を控えた学生がいち早く注目した「健康経営銘柄」

――健康経営を推進する取り組みとして2015年から「健康経営銘柄」をはじめています。これについて教えてください。

 経済産業省と東京証券取引所が、共同で選定しているのが… 続きを読む

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