企業の働き方はどう変わっていくべきか(第5回)

IT業界の悪習を断ち切ったSCSKの果敢な挑戦

2017.04.05 Wed連載バックナンバー

 近年、過度の残業を控えるルールを定めている企業が大半と思われますが、日々多忙な業務を抱える現場にとっては「絵に描いた餅」というケースが多いのでは。同様に、有給休暇の制度についても形骸化している企業も多いようです。いくらルールや制度を定めても、それを利用する人の意識を根本的に変えなければ、働き方改革を組織に定着させることは困難です。SCSK株式会社は、そこに着目した取り組みを推進しました。

SCSK株式会社について

 ビジネスの新付加価値創造とグローバル展開をITに関するすべてのサービスでサポートするSCSK株式会社は、約7,300人の社員の約8割がIT人材である日本を代表するSIer集団の1つです。同社では2011年の合併により、新体制がスタートし、新たに「夢ある未来を、共に創る」を経営理念に掲げました。それを実現する約束として「人を大切にします」を第一に唱えています。

 

日本の成長産業の軸であるIT業界を健康的に革新せよ

 SCSKの人事グループ 副グループ長である小林良成氏は「私たちの経営資源は人です。しかし、お客さまの事業の中枢となるシステムを担う仕事柄、24時間365日体制でのサポートが求められ、お客さまの業務を妨げない深夜や休日の作業が多く、時間外労働や長時間労働が常態化していたのです」と振り返ります。また夜遅くまで働く、休まない社員が評価される風潮があり、そうした優秀な社員に仕事が集中する属人化が進み、若い社員にとっては成長の妨げになっていたという課題もありました。

 こうした厳しい労働環境に異を唱えたのが、新体制を率いた同社の中井戸信英会長(現 相談役)でした。小林氏は「経営トップから『日本の成長産業を支えるIT業界が、このような働き方ではいいサービスは提供できない。もっと社員が健康的に働ける環境をつくるべし』という号令が出ました。達成目標として提示されたのは残業時間の半減と有給休暇の完全取得です。人事グループとしては、現実的に不可能ということを伝えたのですが、『できそうにない目標を掲げるから、工夫をするのだ。まずはやってみろ』と言われたのです」とトップの堅い決断を受け入れます。

 

試験的な施策で明らかになった「当たり前を地道に行う」重要性

 こうして同社の働き方改革が始動し、最初は残業時間の半減を目標に3カ月期間限定で、残業時間の多いモデル部署を対象に試験的な取り組みをスタートさせました。

 小林氏は「実は残業時間を半減する目標のみが与えられ、各部署が業務の特性に応じて工夫すべしという厳しい条件でした。しかし、終わってみれば半数のモデル部署が目標を達成。しかも特別目新しい工夫があったわけではなく、忙しいチームを助ける、ノー残業デーを守るといった、当たり前のことを地道にやるだけで達成できていたのです」と、スタート時を振り返ります。

『残業半減運動』(2012年)/エントリー部署 (32部署) の取り組み施策Best5

 3カ月のトライアルが終わり、現場がほっとしたのも束の間。次に同社のトップから出た指示は「今期の有給休暇を… 続きを読む

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