事例に見る「働き方改革」を加速させるIT基盤

固定電話の鎖を切ったANAの最先端音声基盤とは

2014.09.26 Fri連載バックナンバー

 社員をオフィスから解放すること。いわゆるオフィスに縛られないワークスタイルの実現は、「働き方改革」を進める上で重要なキーワードのひとつです。スマートフォン、タブレットといったスマートデバイスを活用すれば、オフィスの外からでも容易にメールの確認、グループウェアによるチーム連携など「データ」のやり取りはできますが、これだけでは社員をオフィスから解放することはできません。なぜなら、オフィスに固定電話(ビジネスホン)がある限り、「音声」のやり取りがオフィスに縛られてしまうからです。

 今回は、この悩ましい課題をITの活用で見事に解決したANAグループの導入事例をもとに、オフィスに縛られない「働き方改革」のヒントを探っていきます。

 

顧客ニーズの変化がもたらした、コンシューマIT活用の必要性

 ANAグループは、社員一人ひとりの生産性向上を具現化する一施策として、ITを活用した「働き方改革」に積極的に取り組んでいます。これまでにメール機能などを個人の固定端末に縛られることなくスムーズに行える環境や、 “いつでも、どこでも、どのデバイスからでも”メールや資料作成などのオフィスワークができる環境を整えてきました。

 この「働き方改革」を推進する背景には、顧客ニーズの変化があったといいます。全日本空輸株式会社 業務プロセス改革室 イノベーション推進部 業務イノベーションチーム 主席部員 林剛史氏は「現在はお客さま自身が使い慣れたコンシューマITで、個々の状況に応じて情報の活用やサービスの組み立てを行い、企業がこれに合わせるお客さま主導型のサービスが主流になりつつあります。こうしたお客さまの一人ひとりの個別化するニーズへ柔軟に対応し最適なサービスを提供するためには、お客さま自身の考えやふるまいを正確に理解することが重要であるとともに、お客さまが活用しているコンシューマITを企業に取り入れ新たな業務環境を構築することで、我々自らも変革していく必要があったのです」と説明します。

 また、お客さまの体験価値を向上し満足していただくには、全てのお客さま接点においてシームレスなサービスを提供することや個々の状況に応じた人的サービスを提供する必要があるため、縦割りの情報伝達を、組織や部門の壁を越えた横断的な情報連携にシフトすることで、係員間で一貫した対応や斬新なサービスを産み出していくことも重要なファクターだったといいます。

 さらに、ANAグループでは成長事業である国際線の生産量を拡張し、2016年にはANAとして初めて国内線の生産量と同等の水準を計画。つまり今後は、今まで以上に世界中の顧客がサービス提供の対象になるというわけです。

「国際線は環境変化による影響を受けやすく変動性の高い事業になりますので、コストの構造改革により経営の基盤を盤石にする必要があります。コスト、経営資源の効率化に向けた生産性の向上という側面から、いつでも、どこでも働ける環境を推進する必要があったのです」(林氏)

 各種サービスの導入により、ANAグループの「働き方改革」は着実に前進していましたが、新たな業務環境へ移行する上でクリアすべき最大の課題が残っていました。それが、「固定電話である故、自席でしかできない業務と、自営のPBXによる高額な音声基盤」でした。自席に縛られないワークスタイルの確立に向け、従来の音声基盤の見直しが急務になっていたのです。

 

クラウド利用によるBYOD対応を前提に、老朽化更新からの脱却へ

 見直しのきっかけはANAグループの大規模な拠点に導入したPBXが老朽化し、更新時期を迎えたことでした。これを機に既存PBXの音声基盤(プラットフォーム)化に加え、モバイル端末、国内/海外PBXのシステムのクラウド化を同時に行いました。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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