日本テレワーク協会に聞く

在宅勤務の普及を妨げる要因とは?

2013.12.02 Mon連載バックナンバー

 IT技術の進化によって、テレワーク(在宅勤務)の利用用途は拡大している。同時に、これまで導入の阻害要因となっていた社内の情報管理についての課題も各社がソリューションの提案を行い、安心・安全なテレワーク環境が構築されてきており、その結果、テレワーク導入による業務改善や営業効率向上の成果も出てきている。

 しかし、一部の大企業でテレワークが推進される一方で、多くの中小企業においては導入が進んでいないという問題がある。テレワークの導入に対して何が課題なのか。それを阻害する要因と解決策について、一般社団法人日本テレワーク協会の長谷睦治事務局長、今泉千明主任研究員に話を聞いた。

 

テレワーカーの人数は、政府の目標数を超えるほど増えている

 テレワークとは、情報通信技術を活用し、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働くことができる勤務形態のことを指す。政府は、平成22年の新たな情報通信技術戦略において「2015年までに、在宅型テレワーカーを700万人とする」と目標を掲げた。平成24年度に実施したテレワーク人口実態調査では、労働者人口におけるテレワーカーの割合は21.3%となり、テレワーカー数も1400万人となった。自宅のIT環境で仕事をする「在宅型ワーカー」に限定すると約930万人(14,2%)となり、政府の目標数を上回るなど、テレワークは広がりを見せている。

 政府では現在、日本再興戦略世界最先端IT国家創造宣言(PDF)において「2016年までに、労働者に優しいテレワーク推奨モデルの構築・普及」することや、「2020年には、テレワーク導入企業を2012年度比で3倍、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上にし、また、こうした取り組みを含めた女性の就業支援等により、第一子出産前後の女性の継続就業率を55%、25歳から44歳までの女性の就業率を73%まで高める」という目標を掲げている。

 

なぜ国はテレワークを推進するのか

 ところで、なぜ国はテレワークを推進しているのか。それは、テレワークを導入し、多様化する働き方に対応した就業環境を構築することで、以下の効果が見込まれるからだ。

 まず1つ目は、「事業継続性の確保」だ。東日本大震災などをきっかけに、災害時などの非常事態において、事業継続計画(BCP)として、在宅や遠隔による作業環境の構築を行うことで、事業推進を行うことへの期待が大きい。

 また、企業のオフィス環境に対しても、好影響を及ぼすと考えられている。オフィス空席率の軽減によるスペースの効率化といった「オフィスコストの削減」や、通勤減少などによる電力消費やCO2排出量の削減といった「環境負荷の軽減」をもたらすなど、企業の業務環境の改善が見込めるという。

 「生産性の向上」にも大きな影響を及ぼすとされている。営業などの顧客とのコミュニケーションが重視される職務においては、現場と社内の迅速な連絡により、顧客満足などの営業効率を上げることが可能だ。

 労働者の観点からは、… 続きを読む

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江口 晋太朗

江口 晋太朗

編集者

政治行政やスタートアップ、テクノロジー、デザイン、カルチャーなどの多様な領域とメディアを横断。雑誌やウェブサイトなどの編集から、PRコンテンツ作り、コンセプトワーク、企画設計などの事業支援を行う。

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