ヒト・モノの現状を、クラウドで見守るロボット

“誰でも使えるIoT&AI”で社会課題に挑むビーサイズ

2017.04.11 Tue連載バックナンバー

 機能性・デザイン性に優れた家電製品を生み出して、各種メディアなどから注目を集めたビーサイズ株式会社。同社の次のチャレンジは、IoTとAIを活用し、人とともに社会課題を解決するロボットを開発することでした。

 開発の中で直面したのが、ロボットの通信機能に関する課題でした。同社は、その壁をどのようにして乗り越え、誰もが安心して使えるサービスの提供を実現できたのでしょうか。

ビーサイズ株式会社について

 ビーサイズ株式会社は、家電製品の企画・設計・製造・販売を手がけ、ユニークな製品の企画力や開発力で注目されるハードウェアベンチャー企業。大手メーカーで医療機器の設計に従事した経歴を持つプロダクトデザイナーである八木啓太氏が、これまでにない製品を開発したいとの思いで2011年に独立。「デザインとテクノロジーで社会に貢献」「生活の不満をテクノロジーで解決」をコンセプトに事業を展開している。自然光に近いLEDデスクライト「STROKE2」や、杉間伐材を使ったインテリアに溶け込むワイヤレス充電器「REST」など、国内外でデザイン賞を受賞(※)

※STROKEが「2015年度グッドデザイン賞」「Red Dot Award 2016」「iF Design Award 2016」を受賞

 

通信機能が要となる新デバイスを開発――安定性やコストを基準に検討を開始

 同社の設立者であり代表である八木啓太氏は、新サービスについて次のように説明します。

 「現在開発しているのが、『Bsize BoT(以下、BoT)』シリーズです。このサービスは、センサーやカメラを積んだ手のひらサイズのロボットと、クラウド・アプリをオールインワンで提供するというものです。ロボットが知覚する情報を取得し、クラウドで管理、学習することで、ロボットの周辺の状況を離れた場所から確認できたり、普段と違う異常状態を通知、解決提案してくれたりすることができます」

 八木氏は、BoTの使い方を例示します。「たとえばGPSセンサー搭載型のBoTをお年寄りや子どもが身に付ければ、常に所在が確認できて家族は安心するでしょう。また、カメラ搭載型のBoTを畑に設置すれば、現地に足を運ぶことなく、天候や作物の状況などを知ることが可能です。離れたヒトやモノ同士が、距離や時間の壁を越えてつながることで、1人の人間としてできることを拡張させたい。そこで生み出される時間を、より有意義に過ごしてほしいと思います。さらにこのBoTが、人に変わって状況を理解し、解決を提案してくれる知的パートナーとして労働人口低下や少子高齢化などの社会課題の解決に貢献できればと考えています。」

 BoTが目指すIoTサービスを実現するには、安定して常時接続可能な堅牢な通信品質や、利用者のランニングコストに直結する手ごろな通信料など、クリアすべきハードルが多々ありました。それらを乗り越えないと、八木氏が想定している質の高いサービスは実現できないと言います。そこで、どのような通信機能を実装するかが、BoTの品質を決定づける重要なポイントとなりました。「通信キャリアのサービスやWi-Fi、Bluetooth、LoRaといった多数の通信方式を比較し、どれがBoTに最適な方式なのかを念入りに検討を重ねました」と八木氏は振り返ります。

 

ネットワークのプロの知見を基に「誰でも簡単に使える」サービスを実現

 検討に当たってとりわけ重視したのが、「難しい設定が不要で、箱を開けて取り出せばすぐ使い始められること」と「通信コストが抑えられること」でしたと、八木氏は話します。

 「何度も試作モデルを作って、検討を重ねていきました。そこで判明したのが、たとえばWi-FiやBluetoothの場合は、通信エリアが限られる上に、ルーターなどとの接続設定が必要なため、手軽さに欠けるということです。実際のところ、スマートフォンでパスワードを入力したりするのは、高齢者の誰もができることではありません。一方、キャリアの通信の場合、IoTのような通信量の少ない利用法には不向きなプランが多く、現実的ではありませんでした。その結果、条件を満たすためには独自の帯域設計が必要不可欠と判断し、パートナーの選定を進めていきました」

 数社の検討を行い、同社がパートナーに選んだのは、NTTコミュニケーションズでした。決め手となったのは、グローバルなネットワーク基盤「Arcstar Universal Oneモバイル」の安定性・信頼性、およびNTTコミュニケーションズの柔軟な提案力でした。

 「特に、お年寄りや子どもの“見守り”を実現するGPS搭載型のBoTは、“とぎれない通信”が不可欠です。ですから、サービス選定においてはネットワークの安定性や信頼性に重きを置きました。そのことは、BoTの付加価値としてお客さまへの訴求ポイントにもなると考えました」と八木氏は話します。

 NTTコミュニケーションズは、モバイルの帯域設計から、SIMカード・通信モジュールの検証や調達まで、BoTの開発に欠かせない通信周りの課題に関するトータルな解決策も提示。「前例も無く、手探りで開発を行っている中で、BoTのコンセプトを踏まえて、パートナーとして開発をサポートしてくれました」と八木氏は語ります。

 具体的には、BoTの要件に合わせてデータ通信の量や速度などをチューニングし、月額利用料をより安価に抑える方法を提案。また、通信モジュールについても最適なものを選定・調達するなどの対応を行ったと言います。「ネットワークに関わる煩雑なやりとりを任せることができて、その分のリソースを製品の開発に充てることができました」(八木氏)

 さらに、回線費用の課金のタイミングも決め手になったと言います。

 「各社から提案されたのは、SIM納品時から回線使用料が発生するプランが大半でした。一方、BoTはお客さまのところにデバイスが届き、充電し始めた時から費用が発生することを想定していました。納品前の在庫の時点で費用が発生していては、手頃な料金設定は不可能ですので、そこは特にこだわりました。NTTコミュニケーションズは、BoTに適しているプランを提案するなど、こちらの要望に柔軟に対応してくれました」(八木氏)

「Bsize BoT」のサービス提供イメージ

 

高信頼なネットワーク基盤をベースに将来的にはグローバル展開も

 こうしてビーサイズは、NTTコミュニケーションズの提案に基づく通信環境を10,000回線導入。2017年春からGPS搭載型のBoTの提供を開始しています。このGPS搭載型BoTは、端末が5,800円、月額利用料が480円というリーズナブルな価格での提供を予定しています。

 「お客さまの利用しやすさを考えると、価格感は重要なポイントでした。高信頼かつ低価格な通信を実現する上で、BoTの要件に合わせて提案してくれたNTTコミュニケーションズのソリューションは不可欠と言えるでしょう」と八木氏は満足感を示します。

 今後は回線数を随時追加しながら、人感センサー搭載型、カメラ搭載型といったシリーズも展開していく計画です。また、将来的には欧米をはじめとするグローバル展開も視野に入れており、その基盤としてもArcstar Universal Oneモバイルが強みを発揮するのではと、同社は見据えています。

 「以前は、NTTコミュニケーションズは主に大手企業向けにソリューションを提供する会社であり、お付き合いしにくいのではというイメージを抱いていました。しかし、実際には当社のようなベンチャー企業でも、十分検討可能な提案をしてくれましたので、その印象は変わりました。これからも、より一層いろいろな面から当社のビジネスを支えて頂きたいですね」と、八木氏は展望を述べます。

 IoTが注目されている中、なかなか導入に踏み切れない企業は多いことでしょう。「それは回線やハードウェア、サーバーなどに関わる諸問題など、IoT導入に必要な一連のハードルをすべてクリアすることが困難だからでは」と、八木氏は分析します。「BoTシリーズは、これ1つで手軽にIoTが始められますというパッケージソリューションですので、その課題解決に貢献できると思います。IoT導入の最小単位として認知され、社会の役に立ってくれることを期待しています」と、八木氏は締めくくりました。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

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Bizコンパス編集部

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