AIでビジネスの現場を変える(第1回)

研究者に聞く!AI技術の最前線とビジネスへの活用

2017.01.11 Wed連載バックナンバー

 現在、人工知能に関する研究が各地で積極的に進められており、さまざまな領域で大きな成果を生み出しつつあります。本連載では、AIをどのようにビジネスで活用すべきかを探っていきます。第1回は、NTTにおいて人工知能の研究に携わる2人に、最近発表された「corevo」の内容やビジネス活用のポイントなどについて伺いました。

 

世界一に輝いたNTTの音声認識技術

 2011年にスタートし、折からの人工知能ブームもあって大きな注目を集めたのが、国立情報学研究所(NII/National Institute of Informatics)による「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトです。これは2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークすること、そして2021年度までに東京大学入試を突破することを目標に掲げて進められました。人工知能に携わる多くの研究者が参加するプロジェクトで、2016年11月に東大合格は断念すると発表したものの、多くの国公立、私立大学で合格可能性80%以上と判定される結果を達成しました。

 このプロジェクトに英語担当として参加したのがNTTであり、2014年には代ゼミセンター模試に初めて挑戦した結果、偏差値は50.5と全受験者の平均を上回る実力を示しました。実はNTTでは長らく言語処理、知識処理についての研究を進めており、その成果が結果につながったと言えるでしょう。

 また音声認識についても長年の研究に基づく深い蓄積があり、公共エリアの騒がしい環境でモバイル端末を用いて音声認識の制度を競う、技術評価国際イベントである「CHiME-3」において、参加25機関中トップの成績を収めています。

 

NTTのAI関連の技術群を集約した「corevo」

 この音声認識について、昨今話題を集めているディープラーニングの技術によって大幅に精度を高めることができたと話すのは、NTTの山田武士氏です。

 「NTTでは音声に関する研究に長年取り組んでいましたが、2000年ごろには音声の認識率においてなかなか人間に迫ることができない停滞期に陥ったのです。しかし2010年を過ぎたあたりからディープラーニングの技術が登場し、それを利用することで精度を大幅に高めることができました。もちろん、NTTでも早くからディープラーニングには取り組んでいましたが、単純にディープラーニングを使うだけでなく、音声を極力歪ませることなく雑音を除去する技術、あるいは残響を取り除く技術などを組み合わせて、非常に高精度な音声認識を実現しています」

 このように、長年積み重ねてきた研究成果や、先進的な取り組みでノウハウを得たAI関連技術群を「corevo」として集約し、AIの活用を推進する取り組みを進めています。その要素技術の技術開発にあたり、NTTでは通信キャリアとしての強みを生かした、4種類の方向性を打ち出しました。人間の意図・感情を理解する「Agent-AI」、深層心理や知性、本能を理解する「Heart-Touching-AI」、人間やモノ、環境を読み解いて瞬時に予測・制御する「Ambient-AI」、そして複数のAIがつながり、社会システム全体を最適化する「Network-AI」です。

「corevo」を構成する4種のAI

 

実用化に向けて研究が進められている4つのAI

 Agent-AIは音声や言語、画像等のメディアを通じ、人の表情や身振り手振りなども加えた人との高度な“対話”を実現することを目指したAIです。この領域における最新の研究内容の1つとして山田氏が挙げるのは、複数のロボットを使った雑談対話の実現です。

 「1体のロボットでは会話が続かなくても、2体のロボットで役割を分担したり、ロボット同士の会話を取り入れたりすると、スムーズに会話を続けられます。NTTでは、複数のロボットを協調させることで、自然な雑談を実現する研究を行っています」

 Heart-Touching-AIで目標とするのは、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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