“攻めのIT”を実現するためのIT基盤を構築する(第3回)

日本郵便がクラウドを活用し海外コンサル事業を推進

2017.02.03 Fri連載バックナンバー

 ネットワークを介してどこからでもサービスが利用できるクラウドは、グローバルにおいて新規ビジネスを立ち上げる際、非常に効率的なIT基盤であると言えます。日本国内において郵便事業を展開している日本郵便は、長年培ってきた郵便業務のノウハウをコンサルティングという形で新興国に提供しています。同社の取り組みはどのようなものか、どのような視点でIT事業者を選定したのか、実際に現地で業務に当たっている担当者にお話を伺いました。

 

アジアの新興国に対し郵便業務のコンサルティングサービスを提供

 今をさかのぼること145年、1871年に我が国において郵便事業が産声を上げました。以来、現在の日本郵便株式会社は、郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスを中心に、人々の暮らしに密着したサービスを幅広く展開しています。2007年に民営化され、日本全国に約24,000の郵便局を運営。「トータル生活サポート企業」を目指す日本郵政グループの中核として、利用者一人一人のライフスタイルやライフステージに応える多様な商品やサービスを提供しています。

 同社では近年、海外事業にも力を入れており、その一環として、長年にわたって培ってきた郵便事業の技術やノウハウをコンサルティングという形態で海外の郵便事業体に提供する取り組みを推進しています。国際事業部においてその業務を担当する原裕一郎氏は、取り組みの背景を説明します。

 「この事業の背景には、安倍政権が打ち出している経済成長戦略における日本型インフラの海外輸出という動きがあります。鉄道や発電所などのインフラを積極的に海外に売り込もうというもので、その一つとして郵便も挙げられました。対象は主に東南アジアの新興国で、私が主に担当しているベトナムのほか、ミャンマーでも取り組みを進めています」

 ベトナムにおいては、2015年1月に日本・ベトナムの両政府が郵便事業に関する協力の覚書を締結。それに基づき、同年6月より日本郵便はベトナム郵政公社(以下、VNポスト)との間でコンサルティング契約を締結し、サービスを提供することとなりました。

 「ベトナムでは、郵便物を発送してから相手先に届くまでの送達時間がかなりかかることに加え、小包の中身が破損していたり、まれに届かなかったりというケースもありました。近年、海外資本の宅配事業者の参入もあって、VNポストも危機感を持っており、非常に前向きな改善意識を持っていました」と、原氏はコンサルティング開始時点でVNポストが抱えていた課題を挙げます。

 

送達時間を客観的に集計・分析できるシステムを構築したい

 コンサルティングは、まず第一弾として2015年度いっぱいの期間で契約。日本郵便のスタッフが現地に赴いて実情を調査した上で問題点を抽出し、VNポストに改善案を提案しました。原氏と共に現地で業務にあたった国際事業部の内村史郎氏は、「ベトナムでは道路事情が必ずしも良好ではありません。当然それによる遅延もありますが、各郵便局から郵便物を集約する地域ごとの郵便区分センターにおける滞留時間が非常に長いことがわかりました。そこで我々は、区分センター内における処理速度を改善することで、送達時間の短縮を図りました」と、改善提案の概要を述べます。

 ベトナムには、首都であるハノイと経済の中心であるホーチミンという2つの大都市があります。従来この都市間の小包の送達時間は7~8日を要していましたが、日本郵便の提案により… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter