“攻めのIT”を実現するためのIT基盤を構築する(第2回)

ガートナーも提唱、バイモーダルは“侍と忍者”!?

2016.11.30 Wed連載バックナンバー

 「守り」から「攻め」へ、最新のIT活用で自社の事業の強みを最大化する「ビジネスの革新」の具体的な取り組みを進めていく上で必要とされる資質を、ガ―トナー社では“侍”と“忍者”にたとえているのをご存じでしょうか。今回は、多くの企業のビジネス革新を手がける2名のITコンサルタントに取材を行いました。“侍”と“忍者”の役割の違いと重要性を解き明かし、自社のビジネス革新を達成するための具体的なステップを解説します。

 また、巧みに“忍者”を活用し、攻めのITの手段の一つとして注目される「APIエコノミー」を実践している複数の企業の例や、“忍者”の確保についての秘訣についても紹介していきます。

 

ビジネスを革新するバイモーダルなITとは

 IT基盤づくりの前に理解しておきたいキーワードとして「バイモーダル」があります。これは「2つの流儀」という意味で、企業のITを2つに分けて考える思想です。バイモーダルを提言するガ―トナー社は「モード1/モード2」と呼んでいますが、「守りのIT/攻めのIT」、「SoR(System of Record/記録するシステム)SoE(System of Engagement/外部との関係を築くシステム)」と呼ぶこともあります。要は前者が従来の社内的なIT基盤、後者がパートナーや顧客にリーチする社外向けの新たに取り組むべきIT基盤と言えるでしょう。

「バイモーダル」とは

 これまでのIT部門は組織的な合意形成のもと、じっくり時間をかけてウォーターフォール型の開発手法でSoRを構築し、運用することが主なミッションでした。ここで重視されるのは事業基盤としての信頼性、安全性です。しかし、これからの時代はこうした「守りのIT」に加えて、利益を産み出す「攻めのIT」への対応が求められます。それには時代やニーズの変化に即応できるスピードと、そのためのアジャイルな開発手法が必要です。この2つを意識して区別し、両軸で取り組んでいくことが重要になります。

 NTTコミュニケーションズICTコンサルティング本部の天野氏は「バイモーダルを進めていく上で必要とされる資質をガ―トナー社では“侍”と“忍者”にたとえています。組織で決められた上意下達のルールのもと、きっちり仕事を進めていくSoRには組織に属する侍の視点が求められます。一方、手段を問わず速やかな任務遂行が求められるSoEには、組織に縛られることなく独自の判断で仕事をする忍者の視点が求められるという意味です」と説明します。

 組織内のルールに沿ってSoRに取り組む侍は「完璧にやり遂げること」が任務の大前提となり、失敗は絶対に許されません。安定して使える社内IT基盤を確実に構築、運用することが求められるからです。一方で社外のパートナーや顧客との関係性を築き利益を生むSoEに取り組む忍者には「スピーディに新たな施策を打ち出すこと」が重要になるため、たとえ失敗してもとがめられることはありません。その失敗を糧として、新たなビジネスを創造すればよいからです。

「バイモーダル」に求められる2つの資質

  日本企業のIT部門では“石橋を叩いて渡る”侍タイプの人材が高く評価されがちです。たとえば、新たなアイデアに対してより多くのリスクを指摘できるほど優秀だという物差しがあります。しかし、これからはリスクを恐れず失敗を恐れない、“見る前に跳ぶ”忍者タイプこそがバイモーダル対応のカギになると言います。

 天野氏は「最終的には、IT部門だけではなく事業部門も巻き込んで適性に応じて侍、忍者の役割を充てていく組織再編が必要になります。まずはIT部門が侍だけではなく忍者の視点を意識的に採り入れてしていくことが第一歩になるでしょう」と提言します。

 

攻めのIT、SoEを成功に導くAPIエコノミー

 侍と忍者では、使う武器(IT)も大きく異なります。侍の“刀”は藩や主君を守るためのものであり、何より安定に重きを置いた重厚なITです。一方で忍者の“手裏剣”は… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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