デジタル時代のビジネス創造を考える(第5回)

ビッグデータがウエルシア薬局に与えた“気づき”

2016.08.23 Tue連載バックナンバー

 企業には、蓄積された膨大な基幹系や情報系のデータがあります。しかし、単に保有しているだけでは新たな価値は生まれません。デジタル時代のビジネスを勝ち抜くためには、これらをビッグデータとして解析し、活用することで次の一手を見出すことが重要になります。とはいえ、大半の企業が「社内に専門家がいないので、対応できていない」というのが現状ではないでしょうか。

 そのような課題を抱えていたウエルシア薬局は、筑波大学との産学共同研究プロジェクトに参画。研究の素材として、自社のPOSデータを同大学に提供します。そこからデータサイエンスに携わる学生たちが導き出したのは、小売のプロを驚かせた意外な業務改善提案でした。

ウエルシア薬局株式会社について

 1959(昭和34)年に個人の調剤薬局からスタートしたウエルシア薬局株式会社は、全国約1,400店舗のチェーン展開を進めています。「ドラッグ&調剤」「カウンセリング」「深夜営業」に「在宅介護」を加えた調剤併設型ドラッグストア「ウエルシアモデル」の展開により、「お客さまの豊かな社会生活と健康な暮らしを提供」することが、同社の変わらぬ企業理念です。

 

「かかりつけ薬剤師制度」で活かされる「24時間営業」

 ドラッグストア業界は医療制度の改革による薬価の値下げでしばらく厳しい事業環境に置かれていましたが、2016年4月よりスタートした「かかりつけ薬剤師制度」により、活気づいています。この制度は信頼できる薬局の薬剤師を選び、自らが服用した薬を把握してもらい、営業時間外でも相談や適切なアドバイスを受けられるというものです。

 同社執行役員 営業統括本部 営業推進部 部長の小沼健一氏は「いち早く24時までの深夜営業に取り組んできた実績を生かし、24時間営業の店舗拡大に取り組んでいます。現時点では約50店舗程度が24時間営業となっています。そのうち処方箋の24時間対応はまだ数店舗に過ぎませんが、今後も対応店舗は増えていくでしょう」と語ります。

 近年、コンビニエンスストアとドラッグストアが一体化した店舗をよく見かけますが、これは24時間営業を展開する上で有効な手段であるからです。小沼氏は「私たちもこれまでコンビニとジョイントして出店することがありましたが、どうしてもコンビニ色が強くなりがちでした。あくまでもメインは薬局というスタイルで24時間営業を行うことが、業界全体の追い風になると考えています」と説明します。

 同社の多店舗運営を支えているのは、各店舗と本部をつなぐPOSシステムです。小沼氏は「日々、各店舗でどんな商品がどれだけ売れたかがわかるというシンプルな仕組みです。基本的には本部がPOSデータを集約し、各店舗に必要な商品情報を送付するのですが、売場づくりに関しては各店舗におおよそ任せています。当然、仕入れ担当者の経験も売上を大きく左右します。店舗間の格差を平準化するためにBIツールの導入も検討しましたが、どう使えのかがわからないということが課題でした」と当時を振り返ります。ビッグデータの活用に興味はありながら、うまく社内で回す方策がわからない。同様の課題を抱える企業は多いと思いますが、そんな同社の転機となったのが… 続きを読む

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Bizコンパス編集部/NTTコミュニケーションズ株式会社 平川 亜希子

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